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推敲・相談

小説の添削はどこに頼む?感想・講評・校正の違いと依頼先の選び方

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この記事の答え

「添削」という名前で選ばず、何が返ってくるか(感想・講評・本文の修正案・誤字の指摘)で選びます。

  • 初見の反応を知りたいなら感想、何が足りないか知りたいなら講評、直し方を見たいなら添削、誤字や表記なら校正
  • 依頼先は、対応ジャンル・対象の範囲(全文か冒頭か)・納品形式・納品後の質問・原稿の扱いで比べる
  • まだ書き終わっていない原稿や、誤字の確認だけなら、依頼より先に自分で試せることがある
目次

小説の添削を頼もうとして、「感想」「講評」「添削」「校正」と似た名前のサービスが並び、どれを選べばいいか分からなくなっている人に向けた記事です。同じ架空の原稿に四種類の納品物を付けて違いを見せ、原稿の段階と困りごとから頼む作業を選ぶ表、依頼先を比べる確認表へと進みます。依頼しなくても自分で直せる場合と、指導を受けても保証されないことも整理します。

感想・講評・添削・校正は、返ってくるものが違う

四つの作業は、名前より納品物で区別すると分かりやすくなります。

作業 返ってくるもの 向く段階 返ってこないもの
感想 読んだ人の受け取り方。止まった場所、印象に残った場面 初稿を書き終えた。初見の反応を知りたい 直し方の提案、誤字の指摘(頼まない限り)
講評 良い点と課題、その理由、改稿の方向 何が足りないか自分では分からない 本文そのものの書き直し
添削 本文への修正案や書き込み、修正の理由 直したい箇所はあるが、直し方が分からない 作品全体の評価(講評付きかはサービス次第)
校正 誤字・脱字・表記の揺れ・文法上の誤りの指摘 内容は固まった。応募や刊行の直前 話の面白さ、構成、人物への意見

実際のサービスでは、これらが組み合わされています。「添削」と書かれていても中身は講評中心のこともあれば、「講評」に冒頭だけの赤字が付くこともあります。たとえば公募スクールの「公募に勝つ!添削講座」は、作品の冒頭20ページ(400字詰換算)に赤字添削を入れ、作品の全体について講評する講座です。全文に赤字が入るのではなく、赤字は冒頭、全体には講評という組み合わせです。名前だけで選ぶと、こうした範囲の違いを見落とします。

同じ原稿への四つの納品例

違いを具体的に見るために、架空の短編「改札の向こう」(約12,000字)の冒頭の一節に、四種類の納品物を付けました。原稿も納品物も、この記事のために作った架空のものです。

作例依頼した原稿(冒頭の一節)

駅の改札を出ると、雨はもう止んでいた。綾香は傘をたたみながら、今日こそ兄に父のことを話さなければいけないと思った。兄は三年前に家を出てから、一度も実家に帰ってきていない。父が倒れたことを伝えるのは、妹である綾香の役目だった。

喫茶店のドアを開けると、兄は奥の席にもう座ってた。綾香の顔を見て、兄は少し驚いたように眉を上げた。でも本当は、兄は綾香が来ることをずっと前から知っていた。

作例納品例1 感想

雨上がりの改札から始まるので、静かな話になりそうだと思って読み始めました。兄が先に座っていたところで、兄のほうが待っていたのかと少しどきっとしました。最後の一文で兄の気持ちが急に分かってしまい、そこで一度読み返しました。

作例納品例2 講評

良い点:再会の直前から書き始めているので、読者がすぐに二人の関係に入れます。

課題1:父が倒れたこと、兄が三年帰っていないこと、綾香が伝える役目であることを、最初の四文で説明しきっています。そのため、喫茶店で兄と向き合ったときに明かせる情報が残っていません。事情の一部を二人の会話の中に移すと、再会の場面に緊張が生まれます。

課題2:最後の一文で、語りが綾香から兄の内面に移っています。全体を綾香の視点で書いているなら、兄が知っていたことは、表情や持ち物、台詞で示し、読者が推測できる形にする案があります。意図して視点を移しているなら、移す場所を場面の切れ目にそろえると読みやすくなります。

作例納品例3 添削(本文への修正案)

駅の改札を出ると、雨はもう止んでいた。綾香は傘をたたみながら、今日こそ兄に父のことを話さなければいけないと思った。兄は三年前に家を出てから、一度も実家に帰ってきていない。父が倒れたことを伝えるのは、妹である綾香の役目だった。、鞄の中の封筒を指で確かめた。

喫茶店のドアを開けると、兄は奥の席にもう座ってた座っていた。綾香の顔を見て、兄は少し驚いたように眉を上げた。でも本当は、兄は綾香が来ることをずっと前から知っていた。テーブルには、水のグラスが二つ置いてあった。

【コメント】事情の説明は削り、封筒(中身はあとで明かす)に置き換えました。父のことは会話で明かす想定です。最後の一文は、兄が待っていたことをグラスの数で示し、綾香の視点のまま伝わる形にしています。

作例納品例4 校正

1行目「止んで」:5ページ目では「やんで」と書かれています。どちらかに統一するか確認してください。
5行目「座ってた」:地の文のほかの箇所は「〜ていた」の形です。会話以外でい抜きを意図していなければ「座っていた」。
※内容・構成についての指摘は校正の範囲外のため行っていません。

四つを並べると、同じ原稿でも、作者が次にすることが変わるのが分かります。感想を受け取ったら、読み返された最後の一文を自分で見直します。講評を受け取ったら、冒頭の説明をどこへ移すかを自分で考えます。添削を受け取ったら、修正案を採るか、自分の言葉で書き直すかを選びます。校正を受け取ったら、指摘を一つずつ確かめて直します。

添削の修正案は、そのまま採用しなければならないものではありません。「封筒」は添削者の案であり、作者が別の小道具を選んでもかまいません。修正案から何を直そうとしているかを読み取り、自分の作品に合う形で直すのが、添削の使い方です。

困りごとと原稿の段階から、頼む作業を選ぶ

どの作業を頼むかは、原稿が今どの段階にあり、何に困っているかで決まります。

困りごと 頼む作業 依頼の前に自分で試せること
まだ書き終わっていない。途中で止まっている 依頼より初稿の完成が先 小説を最後まで書けないときの進め方
初めて読む人がどう受け取るか知りたい 感想 友人や書き手仲間に頼む(感想の頼み方)
何が足りないのか、自分では分からない 講評 一晩置いて読み返し、止まった場所に印を付ける
公募で落ち続けていて、理由の見当がつかない 講評(全体)。応募要項に合う分量で 選評が公開されていれば読む
直したい場所は分かるが、直し方が浮かばない 添削(その場面だけ) 同じ場面を別の書き方で二通り書いてみる
構成を大きく組み替えたい 講評(構成)+自分での改稿 推敲・改稿のやり方で筋から見直す
誤字・表記の揺れを応募や刊行の前に確かめたい 校正 校正ツールと音読で一度確認する

表の右端の列は、依頼の前に一度試しておくと、依頼の質問が具体的になるものです。自分で試して「ここまでは直せたが、ここが分からない」と言えれば、依頼先も答えを絞れます。

まだ本文がない段階なら、先に筋を一枚にまとめる

本文がまだない段階では、添削を頼むことはできません。書き始める前に筋を整理したいなら、まず小説のプロットの書き方で、自分の筋を一枚にまとめてみてください。プロットや構成の相談を受け付けているサービスもありますが、初稿を書き終えてからのほうが、指摘を受けたときに直す材料がそろいます。依頼を考えるのは、筋をまとめて書き進め、それでも分からない点が残ってからで十分です。

ジャンルと分量が、依頼先に合っているか確かめる

依頼先を探すときに最初に見るのは、料金より対応ジャンルと受け付ける分量です。ここが合わないと、ほかの条件が良くても依頼できません。

  • ジャンル:純文学、エンターテインメント、ライトノベル、児童向け、歴史・時代もの、ミステリーなど、得意とするジャンルを明記している依頼先もあります。作品に性的な描写や暴力の描写が含まれる場合は、受け付けてもらえるかも確かめます。自分の作品が説明文のどれに当てはまるか、迷ったら購入・申込みの前に聞きます。
  • 分量:上限の字数・枚数、超えたときの追加料金、長編は冒頭だけか全文かを確かめます。長編全体の講評は費用も日数もかかるので、冒頭だけを頼む、結末まで書いたあらすじで構成を相談する、といった分け方も考えられます。依頼先がそうした頼み方に対応しているかは、事前に聞きます。
  • 数え方:字数で数えるのか、400字詰め原稿用紙の換算枚数で数えるのかを確かめます。換算枚数は改行の多さで増えるので、同じ原稿でも数え方で料金の段階が変わることがあります。

講評を出す人の経歴も、ジャンルとの相性を見る手がかりになります。ただし、作家としての受賞歴や刊行歴は書き手としての実績であり、講評がその作品に合うことを保証するものではありません。経歴よりも、講評や添削の見本が公開されていれば、そちらのほうが判断の材料になります。見本の文章を読んで、指摘の細かさや言葉づかいが自分に合いそうかを確かめます。

納品の形と、納品後の扱いを確かめる

同じ「添削」でも、納品の形が違えば使い勝手が大きく変わります。

確認すること 形の違いの例 確かめる理由
コメントの細かさ 全体の所見だけ/場面ごと/一文ごと 一文ごとの指摘がほしいのに全体所見だけだと、直す場所が分からない
書き込みの方法 文書ソフトのコメント・変更履歴/PDFへの書き込み/別紙のテキスト/郵送の紙 自分の原稿ファイルに反映しやすいかが変わる
対象の範囲 全文/冒頭○枚/指定した場面 「全文の講評」と「全文の赤字」は別物
納品後の質問 回数の上限あり/なし/受け付けない 指摘の意味が分からないときに聞けるか
修正・再依頼 改稿後の再講評が別料金/割引/対応なし 改稿して見てもらう予定があるか
納期 日数の目安、混み合う時期の延長 応募の締切に間に合うか

たとえば先に挙げた公募スクールの講座では、講座ページに「講評返却後のご質問は受け付けておりません」と書かれています。返却後に質問できない形式なら、依頼の時点で質問をはっきり書いておく必要があります。逆に、納品後の質問を受け付ける依頼先なら、受け取ってから分からない点を聞けます。どちらが良いかではなく、自分の使い方に合うかで選びます。

依頼先を比べる確認表(空欄つき)

候補が二つ三つに絞れたら、同じ項目で並べます。下の表は、実在の講座を一つ例に記入し、ほかの列を空欄にした見本です。例の列は講座ページで確認できた範囲だけを書き、確認できなかった項目は「ページで確認できず」としています。

確認項目 例:公募スクール「公募に勝つ!添削講座」 候補B 候補C
対応ジャンル 小説一般
対象の範囲 冒頭20ページ(400字詰換算)に赤字、全体に講評
返ってくるもの 赤字添削と講評。文章表現が中心
納品の形 講評返送を郵送で希望する場合は別途料金
納品後の質問 受け付けない
納期 基本3〜4週間(枚数等で延びる)
料金の単位 400字詰換算の枚数別(税表記はページで確認できず)
原稿の扱い ページで確認できず(問い合わせで確認)
見本の公開 ページで確認できず

空欄の候補には、ココナラのようなスキルマーケットの出品や、ほかの講座を入れます。スキルマーケットでは、同じカテゴリの中でも出品ごとに条件が違うので、出品一つを一列として書きます。

ひな形依頼先の比較メモ(コピーして使えます)

【候補名】
対応ジャンル:
対象の範囲(全文/冒頭○枚/場面):
返ってくるもの(感想/講評/赤字/誤字の指摘):
コメントの細かさ(全体/場面ごと/一文ごと):
納品の形(コメント機能/PDF/別紙/郵送):
納品後の質問(回数):
改稿後の再依頼(料金・条件):
納期(目安の日数):
料金の単位と、自分の原稿での総額:
原稿の扱い(閲覧者・保管・削除・外部AIへの入力):
講評・添削の見本:
確認できなかったこと(問い合わせる):

「原稿の扱い」と「確認できなかったこと」の欄は、空いたままにしないでください。空欄が残る候補は、申し込む前に問い合わせます。未公開の原稿を渡す前に確認したい点と問い合わせ文は、未公開原稿の守秘・著作権・取扱条件を確認するにまとめています。

料金の欄は、表示価格をそのまま写すのではなく、自分の原稿の字数で計算した総額を書きます。単位や追加料金の違いをそろえる方法は次の記事で扱います。

依頼しなくても自分で直せる場合

講評や添削は役に立ちますが、すべての課題に必要なわけではありません。次のような場合は、先に自分で試すほうが早く、費用もかかりません。

確認表依頼の前に自分で確かめること

  • 誤字・脱字・表記の揺れが中心なら、校正ツールと音読で一度確認した(ツールの指摘の扱いは校正ツールの使い方)
  • 書き終えてから一日以上置いて、最初から通して読み返した
  • 読み返して止まった場所に印を付け、そこを二通りに書き直してみた
  • 説明が長いと感じる段落を、場面に置き換えられないか試した
  • 結末で主人公の何が変わったかを、一行で書けるか確かめた
  • 友人や書き手仲間に、一つか二つの質問で感想を頼んでみた

ここまで試しても「直したいのに、どう直せばいいか分からない」箇所が残ったら、それが依頼で聞くべき点です。逆に、この確認で直せてしまうこともあります。自分で直す順番は推敲とは?文章を直す順番や小説の推敲・改稿のやり方で扱っています。

講評や添削が保証しないこと

依頼を検討するときは、講評や添削で得られないものも知っておきます。

  • 入選・受賞・出版:講評を受けて直しても、公募の結果は選考で決まります。サービス名や宣伝文の言葉は、結果を約束するものではありません。結果の保証をうたう依頼先があれば、その根拠と条件を確かめます。
  • 上達の速さ:一度の講評で文章が変わるとは限りません。指摘を自分で次の作品に生かして、はじめて身につきます。
  • 唯一の正解:講評は講評者の読みに基づく一つの意見です。別の人に頼めば、違う指摘が返ることもあります。作品の狙いと合わない指摘は、採らない判断ができます。
  • 誤字のない原稿:講評や添削は、誤字をすべて拾う作業ではありません。誤字の確認が必要なら、校正として別に頼むか、自分で確かめます。校正の依頼先の選び方は小説の校正サービスの選び方で扱っています。
  • 高い料金やプロ表記が合うこと:料金の高さ、販売実績の数、「プロ」の表記は、依頼先の条件の一つです。自分の原稿と困りごとに合うかは、ジャンル・範囲・見本で判断します。

この記事で依頼先を挙げた基準

この記事では、依頼先を順位では並べていません。例として挙げたのは、対象のジャンル・作業の範囲・料金の単位・納期が公開されている依頼先に限っています。公開されていない項目(原稿の扱いなど)は、その旨を書いています。依頼先の条件は変わることがあるので、申し込む前に提供者のページで最新の条件を確かめてください。

依頼先を探すときの入口

作業と確認項目が決まったら、候補を探します。ここに挙げるのは探し始めの入口で、どれが良いかは上の比較表で決めてください。無料の方法(感想交換や投稿サイトの読者感想)で足りる場合は、そちらから試してもかまいません。

依頼する相手が決まったら、困っている箇所と質問を依頼文にまとめます。必要事項と例文は小説の添削・講評の依頼文の書き方で確認できます。