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学び方・選び方

小説の校正サービスの選び方|添削との違い・範囲・料金条件を確認する

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この記事の答え

小説の校正サービスは、内容を直す添削とは別の作業として選びます。

  • 校正は誤字・脱字・表記揺れ、校閲は事実や設定の矛盾まで見る。構成や表現への助言は講評・添削で、校正の料金に含まれるとは限らない
  • 方言や独自の表記など変えてほしくない表記は、依頼の前に一覧にして伝える
  • 料金の単位(400字あたり・件数・原稿量ごとの定額)、最低料金、納品形式(Wordの変更履歴、赤字のPDFや紙)、再校の扱い、納期、守秘を同じ表にそろえて比べる

校正を頼んでも誤りがすべてなくなるとは限らないため、自分でできる点検と分担して使います。

目次

書き上げた小説の誤字や表記の揺れを、誰かにきちんと見てほしい。そう思って探すと、「校正」「校閲」「添削」「リライト」と似た言葉のサービスが並び、どれを頼めばよいのか迷います。この記事では、架空の原稿を使って「校正に頼むこと」「自分で決めること」「講評に回すこと」を分け、候補を同じ項目で比べます。依頼文の例もそのまま使える形で載せます。

校正・校閲・添削・組版は、頼む作業が違う

まず、似た言葉が指す作業を分けます。サービスごとに言葉の使い方は少しずつ違うので、最後は各サービスの説明で確かめますが、目安は次のとおりです。

作業 見るもの 返ってくるもの 小説で頼む時期
校正 誤字・脱字、表記の揺れ、送り仮名、記号の使い方 原稿への赤字(直し)と、迷う箇所への疑問出し 内容の改稿が終わったあと
校閲 事実関係、固有名詞、人物や設定・時系列の矛盾 疑問出し(「ここは〜では?」という問い) 校正と同時か、その前
添削・講評 構成、人物、場面、表現の効果 講評文や、書き直しの提案 改稿の前(内容を変える段階)
組版 本文を判型・行数・字詰めに合わせて配置すること 印刷・電子書籍用のデータやゲラ(試し刷り) 校正のあと(組版後の紙面でも、もう一度校正する)

たとえば幻冬舎の拝読サービス「ガレー」では、校正を「文字・語句の間違いを正すこと」、校閲を事実関係の確認や整合性のチェックなど内容面も含む作業としています。

大事なのは、校正は内容を良くする作業ではないことです。「この場面は長い」「結末が弱い」といった指摘がほしいなら、それは講評・添削の仕事です。内容の改稿がまだなのに校正を頼むと、直したあとの文章にまた誤字が入り、費用が二重にかかります。講評と添削の頼み先は小説の添削はどこに頼む?で扱っています。

架空の原稿で、問題を「校正・校閲・作者判断・講評」に分ける

次の一節は、この記事のために作った架空の原稿です。わざと何種類かの問題を入れてあります。

作例架空の原稿(短編の一場面)

早紀は、祖母の家の縁側に腰を下ろした。庭の柿の木は、去年より一回り小さく見えた。
「早希ちゃん、そんなん気にせんでええよ」
祖母はそう言って、湯飲みを二つ並べた。早紀は意外の言葉を思いつかず、黙ってうずいた。
その夜は新月で、庭は月明かりに青く照らされていた。早紀はひとりで縁側に座り、明日のバスの時刻を確かめた。一人で帰るのは、初めてだった。

この一節にある問題を、誰が扱うものかで分けます。

箇所 何が起きているか 分類 依頼のときの伝え方
「うずいた」 「うなずいた」の脱字 校正 誤字・脱字は赤字で直してよい
「意外の言葉」 「以外」の誤変換 校正 同上
「早紀」と「早希ちゃん」 人物名の表記が揺れている 校正(揺れの指摘)+作者判断(どちらが正しいか) 人物名の一覧を添える
「ひとりで」と「一人で」 同じ語の表記が二通りある 作者判断(使い分けの意図があるか) 意図がなければ統一を、意図があれば「直さない」と伝える
新月なのに「月明かり」 事実と描写が合わない 校閲 事実や設定の確認を含めるかを明記する
祖母のセリフの方言 意図して書いた話し言葉 作者判断(直さない) 「祖母のセリフの方言は直さない」と伝える
祖母との別れの場面が短く、気持ちが伝わりにくい 内容・構成の問題 講評(校正の範囲外) 校正には含めない。必要なら講評を別に頼む

「ひとり」と「一人」のように、揺れているのか、作者が使い分けているのかが外からは分からない表記があります。こうした箇所を疑問出し(作者に判断を求める問い)にするか、多いほうの表記にそろえる指摘を入れるかは、サービスによって違います。たとえばパブリック・ブレインの小説の校正では、原稿の中で揺れている語は、原則として多く出てくる表記で指摘します。作者判断の箇所を事前に伝えておくと、意図した使い分けにまで統一の指摘が入るのを防げ、確認の手間も減ります。

架空の修正見本

上の原稿に、「誤字脱字は直す」「人物名は早紀に統一」「方言は直さない」「事実の矛盾は疑問出しのみ」と依頼した場合の、返却のイメージです。実際の書式はサービスごとに違います。

依頼内容に沿った校正の返却例(架空)

修正前

早紀は意外の言葉を思いつかず、黙ってうずいた。
「早希ちゃん、そんなん気にせんでええよ」
その夜は新月で、庭は月明かりに青く照らされていた。

返却(赤字と疑問出し)

早紀は意外以外の言葉を思いつかず、黙ってうなずいた。
「早希紀ちゃん、そんなん気にせんでええよ」
その夜は新月で、庭は月明かりに青く照らされていた。〔疑問:新月の夜は月明かりがほとんどないため、月の形か描写のご確認を〕

変更の理由

  • 誤変換と脱字は、依頼どおり赤字で直しています。
  • 人物名は、添えた一覧に合わせて「早紀」に統一しています。
  • 方言のセリフは、指示どおり手を入れていません。
  • 新月の箇所は、作者が月の形を変えるのか、街灯などの光に変えるのかで直し方が変わるため、直さずに問いとして返しています。採るかどうかは作者が決めます。

変えてほしくない表記を、先に一覧にする

小説には、文法上は揺れや誤りに見えても、作者が意図して選んだ表記がたくさんあります。方言、人物ごとの口癖、子どもの語り手のひらがな、会話文だけのら抜き言葉、造語、作中の固有名詞などです。これを伝えずに依頼すると、校正者は一般的な表記に合わせて赤字を入れるかもしれません。

依頼の前に、次のような表記の一覧(表記ルール表)を作って添えます。

ひな形表記ルール表(依頼に添える例)

作品名:〔作品名〕
人物名:早紀(さき)/祖母は名前を出さない
直さない表記:
・祖母のセリフの関西の方言
・会話文の「見れる」「来れる」(地の文では使っていない)
・造語「夜渡り」(作中の行事名)
統一してほしい表記:
・「一人」に統一(「ひとり」は使わない)
・三点リーダーは「……」(二つ続け)
・数字は漢数字
迷ったら疑問出しにしてほしい箇所:
・季節や月の形など、事実と描写が合わない箇所

三点リーダーやかぎ括弧など記号の決め方は、小説の句読点・かぎ括弧・三点リーダーで整理できます。表記ルール表は依頼の前に自分で作るものなので、作る途中で自分の揺れに気づくこともあります。

赤字と修正データ:納品形式を選ぶ

校正の結果がどんな形で返ってくるかは、その後の作業の手間を左右します。

納品形式 中身 向く人 注意点
Wordの変更履歴とコメント 直しが履歴として残り、疑問出しはコメントで付く Wordで原稿を書いている人。一つずつ採用・却下を選びたい人 履歴を一括で「すべて承諾」すると、意図した表記まで変わる
赤字を入れたPDF 紙やデータに書き込んだ赤字を画像やPDFで返す 縦書きの見た目で確かめたい人 直しは自分で原稿データに打ち直す必要がある
紙の原稿・ゲラへの赤字 印刷した原稿に赤ペンや鉛筆で書き込み、郵送で返す 紙で読み直したい人 郵送の日数がかかる。手元に控えを残す
指摘の一覧表 箇所・元の表記・提案を表にまとめる 原稿データを渡したくない、修正箇所を一覧で管理したい人 この形式で返却できるかは、依頼先に確かめる

赤字(確定した直し)と、疑問出し(作者に判断を求める問い)は、返却物の中で区別されているのが望ましい形です。区別のしかた(赤と鉛筆、コメントの書き方など)も、依頼前に確かめておきます。

返ってきた指摘は、すべてを採用する必要はありません。表記ルール表と照らして、採る・採らないを一つずつ決めます。

原稿量と料金の単位をそろえて比べる

校正の料金は、サービスによって単位が違います。

  • 字数あたり:400字あたり〇円、1文字あたり〇円
  • 原稿量ごとの定額:〇万字までで〇円
  • 件数の定額:月〇件まで〇円(1件の上限字数つき)
  • 最低料金:短い原稿でもかかる下限の金額

同じ原稿で比べるために、自分の原稿の字数で総額を計算します。下は、公式ページに書かれた単価・定額で計算した例です(どちらのページにも税込・税抜の表記はありませんでした)。

原稿 パブリック・ブレイン(Wordデータ、初校) 幻冬舎「ガレー」
1万字の短編 最低料金5,000円(1万字以下の原稿) 最低保障料金17万円(4万字以下は一律)
8万字の長編 400字あたり250円×200=50,000円 35万円(8万字の料金例)
含まれる作業 初校。誤字・脱字、キーワード統一、固有名詞の確認、添削提案・疑問出し。再校は相談 校正・校閲、編集者・校正者の講評、ゲラ。再校と簡易製本は別料金

金額だけを並べると大きな差に見えますが、含まれる作業がまったく違うことに注意してください。前者は原稿データへの初校、後者は校正・校閲に講評とゲラ(組んだ紙面)まで含むサービスです。比べるときは、表の最後の行をそろえてから金額を見ます。

また、パブリック・ブレインの料金ページには、修正が多い場合や原稿が粗い場合に単価が上がることがある、専門的な内容は別途費用、とも書かれています。料金を総額で比べる方法の全体は小説の添削料金はどう比べる?で扱っています。

三つの候補の条件を比べる

以下は、三つの候補の作業範囲と料金などの条件を、提供者の公式ページの記載に基づいて比べたものです。順位は付けていません。ページに書かれていなかった項目は「記載なし」としています。

確かめる項目 パブリック・ブレイン 原稿の校正 幻冬舎拝読サービス「ガレー」 ココナラ(個人の出品)
小説への対応 個人の依頼、新人賞・文学賞への応募予定原稿に対応 自費出版、賞への応募、持ち込み、小説サイトへの投稿を前にした人を想定 出品者ごとに違う。「小説 校正」の検索で多数の出品がある
作業範囲 初校:誤字・脱字、キーワード統一、固有名詞の確認、添削の提案・疑問出し。事実確認は簡単に調べられるもののみ 校正・校閲と、編集者・校正者による講評 出品ごとに違う
料金の単位 400字あたり(Wordデータ・PDFは250円、紙は200円)。1万字以下は5,000円 原稿用紙の枚数単位。4万字以下17万円、8万字35万円 出品ごとの固定額や文字単価、見積もり
納品形式 Wordの赤字と変更履歴、赤字を入れた紙のスキャンPDF、紙の返送 校正・校閲済みのゲラ、白ゲラ、講評シート、ゲラのデータ 出品ごとに違う
納期 記載なし(特急は別途費用の場合あり) 4万字で4週間(12万字未満は一律4週間) 出品ごとに表示
再校 二回目以降は相談 別料金のオプション 出品ごとに違う
守秘 記載なし 記載なし 出品ごとに違う

注意表の補足

  • パブリック・ブレインには月額制の「サブスク校正サービス」もありますが、小説は対象外です(ショートショートは対象)。小説の原稿は、表の字数単価の校正が対象です。
  • 幻冬舎「ガレー」は、校閲済みゲラの例と、編集者・校正者の感想の例をPDFで公式ページに載せています。返却物の形を事前に確かめられます。
  • ココナラの「小説 校正」の検索結果のような個人の出品は、条件が出品ごとに違い、入れ替わりもあります。依頼する場合は、この記事の比較項目を出品者に一つずつ確かめてください。

守秘・納期・再確認を、依頼前に確かめる

上の候補は、公式ページに守秘の扱いが書かれていないか、出品ごとに違います。未発表の原稿を渡す前に、次の点を問い合わせて、回答を文面で残します。

  • 原稿データを誰が読み、作業後にいつ削除するか
  • 作業を別の人や会社に回すことがあるか
  • 原稿の内容を、実績や見本として公開することがあるか

原稿の共有方法や守秘の確かめ方は、小説の添削を頼む前に|未公開原稿の守秘・著作権・取扱条件を確認するで詳しく扱っています。

納期は、応募や入稿の締切から逆算します。校正が返ってきたあと、指摘を一つずつ確かめて直す時間も要ります。返却日と締切の間に、少なくとも数日の余裕を取っておきます。

再確認(再校)は、直した原稿をもう一度見てもらうことです。料金に含まれるのか、別料金か、何回までかはサービスによって違います。直しが多い原稿ほど、直す過程で新しい誤字が入りやすいため、再校の扱いは必ず確かめます。

自分でできる点検と、外に頼む部分を分ける

校正を頼む前に自分でできる点検を済ませておくと、校正者が細かな誤りに時間を取られず、表記の揺れや矛盾の指摘に集中できます。料金が字数あたりでも、粗い原稿は単価が上がる場合があるため、費用の面でも意味があります。

確認表依頼の前に自分で済ませる点検

  • 内容の改稿は終わっている(このあと場面を足したり削ったりしない)
  • 校正ツールや文章チェック機能で、誤字・表記揺れの候補を一度確かめた
  • 人物名・地名・作中の固有名詞を一覧にして、本文と照合した
  • 時系列や設定を表にして、日付・曜日・季節の矛盾を確かめた
  • 印刷するか、表示を変えて、声に出して一度通読した
  • 変えてほしくない表記を表記ルール表にまとめた

校正ツールの指摘をどこまで信じるかは小説に校正ツールを使う方法で、設定や時系列の矛盾を表で点検する方法は小説の設定矛盾の見つけ方で扱っています。

費用をかけずに他人の目を借りたい場合は、身近な読み手に「誤字と人名の揺れだけ印を付けてほしい」と範囲をしぼって頼む方法もあります。範囲をしぼると、感想を求められていると受け取られず、頼まれた側の負担も軽くなります。

自分で点検しても、校正を頼んでも、誤りがすべてなくなるとは限りません。また、校正を受けたことが応募の結果を左右すると考えるのも早計です。校正は、作者が決めた表記を作品全体で正しくそろえるための作業と考えて使います。

依頼文にまとめる

ここまでの内容を、依頼文にまとめます。比較表の項目と同じ順に書いておくと、複数の候補に同じ条件で問い合わせられます。

ひな形校正の依頼文の例(コピーして使えます)

件名:小説原稿の校正のご依頼(見積もりのお願い)

小説原稿の校正をお願いしたく、見積もりをお願いします。

・原稿:現代小説の短編、約12,000字(Wordファイル、縦書き)
・用途:〔例:新人賞への応募前〕。内容の改稿は終えています
・お願いしたい作業:誤字・脱字の修正、表記揺れの指摘、人物名の統一
・事実や設定の矛盾:直さずに疑問出しとしてお知らせください
・お願いしない作業:構成や表現への講評、文章の書き換え
・変えないでほしい表記:添付の表記ルール表のとおり(方言のセリフ、会話文のら抜き言葉など)
・希望する納品形式:Wordの変更履歴とコメント
・希望納期:〔日付〕までに返却(応募締切は〔日付〕)
・確認したいこと:
  1. 総額(追加費用が出る条件があれば、その条件も)
  2. 再校の可否と料金
  3. 原稿データの取り扱いと、作業後の削除

条件を確かめて候補に問い合わせる

内容の改稿を終え、誤字や表記の点検を外に頼みたい人向けに、作業範囲と料金の単位がはっきりしている二つのサービスを挙げます。どちらも守秘の扱いが公式ページに書かれていないため、上の依頼文の確認事項に含めてください。