川柳の作り方|日常の発見を五七五にする初心者向けのコツ
PRこの記事には広告リンクを含みます。広告と紹介の基準
この記事の答え
川柳は、暮らしの中で気づいた人の動きや本音を、五・七・五の十七音で言い表す短詩です。季語や切れ字の約束はなく、ふだんの話し言葉で作れます。
- 出来事を「いつ・どこで・誰が何をした」の一場面に絞る
- その場面から、句に残す動きと本音を一つずつ選ぶ
- 一文で書いてから五七五に削り、声に出して説明しすぎと音のつかえを直す
笑わせることは条件ではありません。おかしみ、皮肉、切なさなど、何を残す句にするかで言葉を選びます。
目次
川柳を作ってみたいのに、「面白いことを言わなければ」と構えて一句目が出ない。五七五にはなったけれど、出来事の報告で終わってしまう。この記事は、そのどちらかで手が止まっている人に向けて書いています。ここでは、架空の日常メモから「探していた鍵が、ずっと自分の手の中にあった」という場面を選び、一文から五七五の一句になるまでを順に見せます。同じ手順で、皮肉を残す句と切なさを残す句も一つずつ作ります。
川柳は、人と暮らしの発見を五七五で言う短詩
川柳は、五・七・五の十七音を基本にする短詩です。俳句と同じ音の形を持ちますが、コトバンクに収録された各辞典は、季語や切れ字の約束がないこと、主に口語(話し言葉)を使うこと、人の暮らしや世の中のことを幅広く題材にすることを、川柳の特色として説明しています。
| 項目 | 川柳での扱い | 最初の一句では |
|---|---|---|
| 音の形 | 五・七・五の十七音が基本 | まず十七音に収めてみる。はみ出したときの判断はあとで |
| 季語 | 入れる約束がない | 季節を入れるかどうかは気にしなくてよい |
| 切れ字 | 「や」「かな」などを使う約束がない | 使わなくてよい |
| 言葉 | 主に口語 | ふだん話している言葉で書く |
| 題材 | 人の行動・気持ち・家族・仕事・世の中など、何でも | 自分が見たこと、したことから選ぶ |
| 笑い | 一句の条件ではない | 何を残す句にするかを先に決める |
名前は、江戸時代中期に前句付(まえくづけ。出された七七の句に、五七五の句を付ける遊び)の選者だった柄井川柳にちなみます。日本大百科全書によると、柄井川柳が選んだ句を集めた『誹風柳多留』の初編が1765年に出版されました。この句集は前句を省いて五七五の句だけを載せたため、一句だけで意味が通るかどうかが重んじられるようになり、五七五で独り立ちする形が広まりました。
笑いだけが川柳ではない
川柳というと、新聞の投稿欄や企業の募集で見かける、くすっと笑える句を思い浮かべるかもしれません。おかしみや風刺は川柳の大きな持ち味の一つです。一方で、日本大百科全書は、近代以降の川柳の句風について、伝統的な傾向、社会を詠む傾向、革新的な傾向などに「きわめて多様化」していると記しています。
最初の一句を作る前に、この句で読む人に何を残したいかを決めておくと、言葉を選びやすくなります。この記事では、次の三つを作例で試します。
| 残したいもの | 読んだ人に起きること | この記事の作例 |
|---|---|---|
| おかしみ・共感 | 「自分にもある」と重ねて、少し笑う | 作例1:鍵を探す |
| 皮肉 | 言っていることとやっていることのずれに気づく | 作例2:エコバッグ |
| 切なさ | 変わっていく関係や時間を感じる | 作例3:授業参観 |
一句に三つとも入れようとすると、焦点がぼやけます。一句につき一つで十分です。
新葉館出版の川柳入門講座「川柳はじめのはじめ」は、川柳を「言いたいことを五七五に凝縮させて詠む」ものと説明し、作句の基本として、誰にでも分かる言葉で作ること、「悲しい」「美しい」のような形容詞はできるだけ避けること、七五調のリズムを崩さないこと、無理をせず感じたままを詠むこと、人に読まれることを意識することを挙げています。この記事の手順も、この基本に沿っています。
季語や題材の違いを俳句と並べて確かめたい人は、同じ場面で俳句と川柳を一句ずつ作って比べた俳句と川柳の違いを先に読むと整理できます。
日常メモから、一場面を選ぶ
川柳の題材は、大きな事件である必要はありません。むしろ大切なのは、出来事を一つの場面まで小さく切ることです。ここでいう一場面は、一つの時刻、一つの場所、そこで誰かがした一つの動きがそろったものです。
「最近、物忘れが増えた」は、何度かの出来事をまとめた傾向で、場面ではありません。これを五七五にしても「物忘れ増えた」という報告になります。物忘れをした具体的な一回を思い出すと、句の材料になります。
架空の一週間のメモで考えます。
作例一週間の日常メモ(架空)
・最近、物忘れが増えた気がする
・月曜の朝、家の鍵が見つからない。鞄を逆さにし、上着のポケットを叩き、台所の引き出しを全部開けた。母に「鍵どこ?」と聞いたら、母は黙って私の左手を指さした。鍵はずっと握っていた
・スーパーでエコバッグを忘れ、レジ袋を買った。家には使っていないエコバッグが七つあり、レジ袋にまとめて仕舞ってある
・小学五年の娘の授業参観。教室の後ろから手を振ったら、目が合ってすぐ前を向かれた。振った手を下ろすきっかけがなかった
・在宅勤務の日の歩数は三百歩
・駅の「階段を使おう」のポスター
六つのメモを、句にできるかどうかで分けます。
| メモ | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 物忘れが増えた | 使わない | 傾向のまとめで、場面がない。具体的な一回を思い出せば使える |
| 鍵を握ったまま探した | 選ぶ(作例1) | 朝の家の中、探す動き、母のしぐさがそろっている |
| エコバッグをレジ袋に仕舞う | 選ぶ(作例2) | 目的と行動のずれが、物の動きで見える |
| 授業参観で振った手 | 選ぶ(作例3) | 手の動きと、親子の距離の変化が見える |
| 歩数が三百歩 | 保留 | 数字には驚きがあるが、人の動きが見えない。三百歩の中身(どこへ何をしに歩いたか)を足せば使える |
| 「階段を使おう」のポスター | 保留 | 貼り紙だけで、人の行動がない。ポスターの前で人が何をしていたかを見れば使える |
保留にした二つは、捨てる必要はありません。メモに「人が何をしたか」が足りないだけなので、次に同じ場所を通ったときに、その場の人の動きを書き足せば題材になります。
メモ自体が少ない、何を書き留めればよいか分からないという人は、しぐさと本音のずれから題材を探す川柳のネタの見つけ方で、メモの集め方から練習できます。
場面から、句に残す動きと本音を選ぶ
場面が決まったら、その中の動きと本音を書き出し、句に残すものを選びます。川柳では、人がしたことと、そのときの気持ちのあいだに小さなずれがあると、そこが一句の芯になりやすくなります。
作例1の鍵の場面を、動きと本音に分けてみます。
| 動き(見える・聞こえること) | 本音(そのときの気持ち) |
|---|---|
| 鞄を逆さにして振る | 急いでいる。遅刻しそう |
| 上着のポケットを叩く | 自分が持っているとは少しも思っていない |
| 台所の引き出しを全部開ける | 誰かが動かしたのではと疑っている |
| 母に「鍵どこ?」と聞く | 母なら知っているはずだと思っている |
| 母が黙って左手を指さす | 気づいた瞬間、恥ずかしい |
この場面の発見は、「探している手が、探している物を持っていた」ことです。これを句にするとき、誰の側から書くかで言葉が変わります。
| 誰の側から書くか | 句に残すもの | 句の方向 |
|---|---|---|
| 自分の手 | 鍵を握ったまま探す動き | 自分のうっかりを、自分で笑う |
| 母のしぐさ | 黙って指さす動き | 気づくのを読む人に任せる |
| 鍵 | 握られたまま探されている物 | 物の側から見たおかしさ(擬人化) |
どれを選んでも間違いではありません。この作例では、母のしぐさで書く案を中心にします。指さすという一つの動きだけで、「手の中にあった」という答えを読む人に見つけてもらえるからです。おかしみを狙って視点を大きくずらす方法は、面白い川柳の作り方で、同じ題材の作例を使って比べています。
一文で書いてから、五七五に整理する
いきなり五・七・五の枠に言葉を当てはめると、音数を合わせることに気を取られ、何を言いたかったかが抜けてしまいます。先に、場面を省略なしの一文で書き、そこから削ります。
手順一文から五七五へ
- 場面を一文で書く。時刻、場所、誰が何をしたかを全部入れます。長くて構いません。
- 残す動きと本音に印を付ける。前の章で選んだものです。
- 印のない言葉を外す。句の外でも分かること、なくても場面が見えることを削ります。
- 五・七・五に割る。語順を入れ替え、言い方を短くして収めます。
- 読みをかなで書いて数える。表記ではなく、声に出したときの音で数えます。
作例1で進めます。
| 段階 | 書いたこと | 音数 |
|---|---|---|
| 一文にする | 月曜の朝、出かける前に鍵を探して台所の引き出しを全部開け、母に「鍵どこ?」と聞いたら、母は黙って私の左手を指さした | 70音 |
| 印を付ける | 「鍵どこ?」と聞く/手(鍵を握っている)/指さす | — |
| 外す | 月曜の朝、出かける前に、鍵を探して、台所の引き出しを全部開け、母は黙って、私の左 | — |
| 五・七・五に割る | 「鍵どこ」と/聞く手の中を/指さされ | 5・7・5 |
外した言葉と、その理由です。
- 「月曜の朝、出かける前に」:急いでいることは「鍵どこ」と聞くだけで伝わります。曜日は句の発見に関係しません。
- 「鍵を探して」:「鍵どこ」と聞けば、探していることは分かります。同じことを二度言わないようにしました。
- 「台所の引き出しを全部開け」:探し回った様子として面白い材料ですが、入れると十七音が足りなくなります。この句では、聞いた瞬間に絞りました(引き出しを残した案は後で比べます)。
- 「母は黙って」:「指さされ」と受け身にすると、指さした人を書かなくても誰かがいることが分かります。黙っていたことも、言葉でなく指で答えたことから伝わります。
- 「私の左」:「聞く手」と書けば、聞いている本人の手だと分かります。左右は発見に関係しません。
作例・川柳作例1:鍵(おかしみ)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 「鍵どこ」と | かぎどこと | 5音 |
| 聞く手の中を | きくてのなかを | 7音 |
| 指さされ | ゆびさされ | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
「指さされ」のように動詞の連用形で句を止める形は、川柳でよく見られます。日本大百科全書は、この連用形の終わり方を、前句に付けた句(付句)だった川柳の性格を受け継いだ特色として挙げています。言い切らずに止めるので、指さされた後の照れくさい一瞬が句の外に続きます。
状況を報告する句と比べる
同じ場面から、よくある形の句も作ってみます。
結末を報告する句から、発見の瞬間を見せる句へ
状況を報告する句
作例・川柳作例:探し物
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 探し物 | さがしもの | 5音 |
| ずっと自分の | ずっとじぶんの | 7音 |
| 手の中に | てのなかに | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
発見の瞬間を見せる句
作例・川柳作例1:鍵
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 「鍵どこ」と | かぎどこと | 5音 |
| 聞く手の中を | きくてのなかを | 7音 |
| 指さされ | ゆびさされ | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
変更の理由
- 修正前は、「探し物がずっと手の中にあった」という出来事の結末を報告しています。多くの人に覚えがある話ですが、誰がどんな様子だったかが見えないので、読む人は「よくあるね」で止まります。
- 修正後は、鍵を握った手で「鍵どこ」と聞き、その手を指さされる瞬間だけを書いています。「手の中にあった」と書かなくても、読む人が指の先を追って気づきます。気づくのが読む人自身なので、そこにおかしみが生まれます。
- 修正前の形が合う場合もあります。誰にでも当てはまる「あるある」を、標語のように一目で伝えたいときは、場面を省いた言い方のほうが届きやすいこともあります。
引き出しを開ける動きを残したい場合は、自分の手の側から書く別案もあります。
作例・川柳作例1の別案:自分の手の側から
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 片手には | かたてには | 5音 |
| 鍵を握って | かぎをにぎって | 7音 |
| 鍵探し | かぎさがし | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
こちらは「握っているのに探している」という矛盾を、句の中で言い切っています。意味は一読で分かりますが、読む人が自分で気づく余地は「指さされ」の案より少なくなります。どちらを選ぶかは、分かりやすさを取るか、気づく楽しさを取るかの判断です。
最後の五音で、何を残すかを決める
五・七・五の三つの部分は、前から上五(かみご)、中七(なかしち)、下五(しもご)と呼びます。最後の五音である下五は、読む人の受け取り方を大きく変えます。作例1の上五・中七はそのままに、下五だけを替えて比べます。
| 下五 | よみ・音数 | 句の印象 |
|---|---|---|
| 指さされ | ゆびさされ・5 | 相手のしぐさで閉じる。手の中の鍵に気づくのは読む人 |
| 笑われる | わらわれる・5 | 周りの反応を言う。おかしい場面だと先に教えてしまう |
| 恥ずかしい | はずかしい・5 | 自分の気持ちを言い切る。発見のあとの感想になり、場面がそこで閉じる |
| 母の指 | ははのゆび・5 | 物(指)で閉じる。誰が気づいたかははっきりするが、指さす動きは弱まる |
「笑われる」「恥ずかしい」が誤りというわけではありません。ただ、上五・中七で場面が見えているなら、下五で気持ちを言い足すと、読む人が感じる前に答えを渡すことになります。下五を、発見を定める・意味を反転する・余韻を残すといった働きで選び分ける方法は、川柳の下五の作り方で四つの候補を比べながら扱っています。
同じ手順で、皮肉の句と切なさの句を作る
残すものが変わると、選ぶ動きも言葉も変わります。メモの残り二つを、同じ手順で句にします。
作例2:エコバッグ(皮肉を残す)
一文にすると、「スーパーでエコバッグを忘れてレジ袋を買った。家には使っていないエコバッグが七つあって、それをレジ袋にまとめて仕舞っている」となります。
最初に思いつくのは、「エコバッグを忘れてレジ袋を買った」という失敗のほうです。けれど、それは誰にでもある一回の失敗です。このメモの発見は、家の中の習慣のほう、つまりごみを減らすための袋を、減らすはずの袋に仕舞っていることです。
作例・川柳作例2:エコバッグ(皮肉)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| エコバッグ | えこばっぐ | 5音 |
| まとめて仕舞う | まとめてしまう | 7音 |
| レジ袋 | れじぶくろ | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
句の中で「矛盾している」「おかしな話だ」とは言っていません。上五の「エコバッグ」と下五の「レジ袋」を、「まとめて仕舞う」という動作でつなぐだけで、ずれが見えます。皮肉の矛先が自分の暮らしに向いているので、読む人も自分の家の袋を思い出せます。
皮肉の句は、矛先を特定の誰か(職場の上司、家族の一人、実在の店)に向けると、読む人によっては悪口に見えます。最初は、自分や、誰もが身に覚えのある習慣を題材にすると安全です。
作例3:授業参観(切なさを残す)
一文にすると、「小学五年の娘の授業参観で、教室の後ろから手を振ったら、目が合ってすぐ前を向かれ、振った手を下ろすきっかけがなかった」となります。
この場面の本音は、「娘が大きくなって、親に手を振られるのが照れくさい年になった」ことへの寂しさです。けれど、それをそのまま書くと気持ちの説明になります。句に残すのは、気持ちではなく行き場をなくした手です。
作例・川柳作例3:授業参観(切なさ)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 振った手の | ふったての | 5音 |
| 行き場に困る | ゆきばにこまる | 7音 |
| 参観日 | さんかんび | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
「寂しい」「大きくなった」とは書いていません。上げたままの手の気まずさから、娘との距離が少し変わったことが伝わります。下五の「参観日」は場所と親子の関係を決める言葉で、ここを「目をそらされ」にすると、手が困った理由を説明することになります。理由を言わないほうが、読む人はそれぞれの親子の場面を重ねられます。
この句には、手を下ろせずにいる自分へのおかしみも少し混じっています。切なさとおかしみは両立します。どちらかに決めきれなくても、場面がはっきりしていれば一句として立ちます。
三つの作例を並べる
| 作例 | 残したもの | 句に残した動き | 書かなかった本音 |
|---|---|---|---|
| 1 鍵 | おかしみ | 聞く手を指さされる | 恥ずかしい |
| 2 エコバッグ | 皮肉 | 袋を袋に仕舞う | 矛盾している |
| 3 授業参観 | 切なさ | 振った手の行き場 | 寂しい・大きくなった |
三句とも、本音は句の中に書いていません。動きを選んだ時点で、本音は読む人に任せられる形になっています。本音をそのまま書いた句が悪いわけではなく、動きだけでは伝わらない気持ちを一語で置く句もあります。最初の一句では、まず本音を動きに置き換えられないか試してみてください。
声に出して読み、意味と音を直す
句ができたら、その場で完成とせず、読みをかなで書いて音数を確かめ、声に出して読みます。
音数は、かなにした読みで数える
十七音は文字の数ではなく、声に出したときの音の数です。漢字のままでは数え間違えるので、読みをひらがなで書いてから数えます。
| 言葉 | 読み | 音数 | 数え方 |
|---|---|---|---|
| 授業 | じゅぎょう | 3 | 「ゅ」「ょ」のような小さい字は、前の字と合わせて1音 |
| エコバッグ | えこばっぐ | 5 | 小さい「っ」は1音 |
| 参観日 | さんかんび | 5 | 「ん」は1音 |
| 「鍵どこ」と | かぎどこと | 5 | かぎかっこなどの記号は数えない |
かなを入力して数えたいときは、かな入力の音数確認を使えます。新葉館出版の川柳入門講座「リズムを味方につけよう」も、できあがった句を声に出して読み上げることを勧めています。指を折って数が合っていても、読んでつかえる句はあります。
音がはみ出したとき
作例1も、最初は次の形でした。
中七と下五のはみ出しを直す
修正前
作例・川柳作例:鍵(最初の形)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 「鍵どこ」と | かぎどこと | 5音 |
| 聞いた手の中を | きいたてのなかを | 8音字余り(基準7音) |
| 指さされた | ゆびさされた | 6音字余り(基準5音) |
合計19音(5・8・6)/基準は5・7・5
修正後
作例・川柳作例1:鍵
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| 「鍵どこ」と | かぎどこと | 5音 |
| 聞く手の中を | きくてのなかを | 7音 |
| 指さされ | ゆびさされ | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
変更の理由
- 修正前は五・八・六の十九音です。声に出すと、中七の「聞いた手の」で一拍詰まり、最後の「た」で句が重く着地します。
- 「聞いた」を「聞く」に、「指さされた」を「指さされ」にして、過去の「た」を二つ外しました。音数がそろうだけでなく、終わった出来事の報告から、今その場面を見ているような書き方に変わります。
- 音数を合わせるために、意味の薄い言葉で埋めたり、必要な言葉を削ったりするのは逆効果です。はみ出しを残したほうが場面がよく見える場合は、残す判断もあります。
最後に、次の表で一句全体を見直します。
確認表最初の一句の見直し
-
一つの時刻・場所・動きに絞れているか
-
「面白い」「悲しい」「恥ずかしい」など、気持ちを言い切る言葉で終わっていないか
-
「〜なので」「〜だから」と、理由を説明していないか
-
下五が、上五・中七で言ったことの言い直しになっていないか
-
自分しか知らない事情(家族の呼び名、職場の用語)がないと意味が通らない言葉はないか
-
読みをかなで書き、五・七・五を数えたか
-
声に出して読み、つかえる所はないか
-
実在の人を傷つけたり、特定できたりする書き方になっていないか
今日の出来事で一句作る
最後に、自分の場面で手順を一度通してみてください。
練習今日の一場面を一句にする(20分)
- 今日あったことを三つ、一行ずつ書きます。「疲れた」のようなまとめではなく、時刻・場所・誰が何をしたかを書きます。
- 三つのうち、人の動きがいちばんはっきりしているものを一つ選びます。
- その場面の動きと本音を、表のように左右に分けて書き出します。
- 句に残すもの(おかしみ・皮肉・切なさなど)を一つ決め、残す動きに印を付けます。
- 場面を一文で書き、印のない言葉を外して五・七・五に割ります。
- 読みをかなで書いて音数を数え、声に出して読み、見直しの表を使います。
ひな形川柳の作句メモ(コピーして使えます)
今日の出来事(時刻・場所・誰が何をしたか): 1. 2. 3. 選んだ場面: 動き(見える・聞こえること): 本音(そのときの気持ち): 残したいもの(おかしみ/皮肉/切なさ/その他): 一文にしたもの: 外した言葉と理由: 句: よみ(かな): 音数: ・ ・
何句か作ってみて、発想・表現・添削の例を順序立てて学びたくなったら、川柳の作り方を学ぶ本で、入門書を目的別に比べています。まずは手元のメモから作り続け、迷った工程に合わせて本を選べば十分です。