川柳の添削の受け方|句会・単発相談・通信講座の選び方
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この記事の答え
まず何を返してほしいかを決めます。選評が載る場と、自分の句に返答が来る場は別物です。
- 読まれ方を知りたい、仲間と続けたい → 川柳会の句会。誌上の選評や投句欄は入選句に付くもので、出した全員に個別の添削が返る仕組みではない
- 一句から数句について、確実に指摘や改作案がほしい → 単発の添削(例:5句以内で申し込める講座、スキルマーケットの出品)
- 基礎から期間を決めて続けたい → 提出回数の決まった通信講座
依頼するときは、句と読みに加えて、その句で見つけたことと変えたくない言葉を書き、返ってきた案は一つずつ採るか保留にするかを自分で決めます。
目次
自作の川柳を誰かに見てほしい。けれど、川柳会に入るべきか、お金を払って添削を頼むべきか、通信講座で学ぶべきか決められない。この記事では、川柳を見てもらう方法を「句会」「誌上の選評」「単発の添削」「通信講座」に分け、実在の例で、返答が必ずあるか、何句出せるか、題詠の句を出せるか、何が返ってくるか、いくらかかるかを比べます。最後に、架空の一句で、変えたくない発見を伝える依頼文と、返ってきた案の採否の決め方を示します。
頼む前に、自分で直せるところまで直す
人に見せる前に、一度は自分で推敲しておきます。理由は、そのほうが聞きたいことが一つにしぼれるからです。
自分で直す段階では、句で見つけたことを普通の文で一行に書き、説明の言葉、助詞と語順、字余りの順に見直します(手順は川柳の推敲のやり方)。それでも次のような疑問が残ったら、人に聞く意味があります。
- 自分では分かるが、初めて読む人に発見が伝わっているか分からない
- 直した案が二つあり、どちらがよいか決められない
- 言葉の使い方(造語、略語、時事の言葉)が通じるか分からない
- 題詠の句で、題から離れすぎていないか判断できない
反対に、「全体的にどうですか」としか言えない段階なら、まず自分で直すか、句会で読まれ方を見るほうが得るものが多いでしょう。
何を返してほしいかで、頼み先が分かれる
| 返してほしいもの | 具体的には | 向く方法 |
|---|---|---|
| 発表の場 | 選ばれて誌面や会報に載る | 句会、誌上の投句、新聞・雑誌の投句欄 |
| 読まれ方 | ほかの人がこの句をどう読んだか | 句会 |
| 具体的な指摘 | どの言葉が説明的か、どこが伝わらないか | 単発の添削、通信講座 |
| 改作案 | 直すならどうするかの例 | 単発の添削、通信講座 |
| 続けての指導 | 毎回の句を同じ講師に見てもらう | 通信講座、指導者のいる川柳会 |
この中で特に混同しやすいのが、上の二つ(発表・読まれ方)と、下の三つ(指摘・改作案・指導)です。
句会と誌上の選評は、全員への添削ではない
句会:読まれ方を知り、仲間と続ける場
川柳の句会では、出された題(前もって出る宿題や、その場で出る席題)に句を出し、選ばれた句が読み上げられます。題ごとに選者を決めて選者が選ぶ形や、参加者どうしで選び合う互選の形など、進め方は会によって違います。自分の句が選ばれたか、どう読まれたかが分かるので、発見が伝わっているかを確かめるには向いています。
ただし、句会は句を選び、読み合う場であり、出した句すべてに直し方が返る場ではありません。選ばれなかった句は話題にならないこともあります。会によっては指導者が講評や添削をすることもありますが、どこまでするかは会ごとに違います。
近くの川柳会を探すときは、一般社団法人全日本川柳協会のサイトにある「川柳MAP」が入口になります。地区・都道府県ごとに川柳社・川柳会の名前が並び、それぞれの会のページにつながっています。参加する前に、見学できるか、初めての人の受け入れ、会費や会誌代、句会の日程と題の出し方、講評があるかを、会に問い合わせて確かめます。
誌上の選評と講評コーナー:載るかどうかは選ばれ方しだい
雑誌や会誌の投句欄も、選ばれた句が掲載される場です。選評が付く場合も、それは掲載された句について書かれる文章で、送った一人ひとりへの返事ではありません。
添削の形をとるコーナーでも、扱いは確かめる必要があります。たとえば新葉館出版の『川柳マガジン』の読者参加コーナーには「川柳クリニック」という添削指導のコーナーがありますが、案内ページでは、このコーナーは定期購読者専用で、掲載の取捨選択と掲載時期は編集部に一任とされています。送れば必ず自分の句が添削されて返ってくる、という仕組みとして読まないことが大切です。
注意公開選評と個別返却の違い
- 公開の選評(句会の披講、誌上の選評、投句欄):選ばれた句について、読者全員に向けて書かれる。選ばれなかった句の理由が届く仕組みがあるとは限らない。
- 個別返却(単発の添削、通信講座):送った句について、本人あてに指摘や改作案が返る。有料のものが中心で、返答は本人にだけ届く。
発表を目指すことと、自分の句への返答を確実に受けることは、別の目的です。一つの方法で両方をかなえようとしないことが、選び方の出発点です。
公募に応募した場合も、結果発表は入選作の発表で、落選した句への講評が届くとは限りません。応募前に確かめる点は川柳に応募する前の確認で扱っています。
単発の添削:一句から数句を、一度だけ見てもらう
単発の添削は、送った句に本人あての講評や改作案が返ってくる方法です。一回ごとに申し込めるので、「この句の、この点だけ」を聞きたいときに向いています。
- 川柳を対象にした添削講座:たとえば公募スクールの「川柳」は、対象作品を川柳とし、料金表では5句以内で3,300円からとなっています。投句用紙に記入して事務局へ送り、講評は基本的に3〜4週間で届くと案内されています。郵送での受け取りを希望する場合は別に1,000円かかります。作品を出すときに川柳や作句について質問でき、講評が返ったあとの質問は受け付けていません。講師は川柳学会専務理事の尾藤川柳さんです。
- スキルマーケットの出品:ココナラで「川柳 添削」と検索すると、川柳の添削・講評を明示した出品(川柳に特化したもの、短歌・俳句・川柳などをまとめて扱うもの)と、一般の文章添削が混じって表示されました。川柳を明示した出品の表示価格は1,000〜2,000円でした。出品は入れ替わり、価格、句数、お届け日数、修正や質問の回数も出品ごとに違います。
スキルマーケットでは、「短歌・俳句の添削」とだけ書かれ、川柳が明記されていない出品もあります。季語や切れ字を前提にした添削では、川柳の口語の言い回しや、人のしぐさ・本音に向ける目線が「俳句らしく」直されてしまうおそれがあります。川柳に対応していると明記されているかを、出品ページの説明で確かめます。同じ理由で、小説やレポートの校正・文章添削を、川柳の添削の代わりに頼むのも向きません。誤字や文法は見てもらえても、句の発見や五七五の調子は見てもらえないからです。
通信講座:期間を決めて、続けて提出する
通信講座は、テキストで学びながら、決まった回数だけ句を提出して添削を受ける方法です。NHK学園には、段階の違う川柳講座があります。
| 講座 | 対象・期間 | 提出と添削 | 受講料の表示(税込、教材費・送料・指導料込み) |
|---|---|---|---|
| 明快!はじめての川柳 | 初めての人。6か月 | 提出5回。テキスト、レポートノート、機関誌『川柳春秋』が付く郵便講座 | 26,600円(キャンペーンの2,000円引き価格と表示) |
| 川柳実作 ~添削で上達~ | 経験者。6か月 | 提出6回。一句ごとに表現したかった気持ちや風景・事柄を添えて出し、講師が良い点・表現のヒント・言葉遣いの助言を返す | 28,600円 |
| 川柳倶楽部 | 経験者。12か月(自動継続) | 提出10回。誌上の互選句会や作品コンクールがあり、機関誌に受講者作品や互選結果が載る | 28,600円 |
講師はいずれも島田駱舟さんです。講座一覧の別の欄では受講料の表示が異なる箇所もあったため、申し込む時点の金額を講座ページで確かめてください。1回に出せる句数、返却までの期間、課題が題詠か自由吟かは、講座ページには書かれていません。気になる場合は、資料請求や電話で確かめてから申し込みます。
「川柳実作」の、一句ごとに表現したかったことを添えて出す形は、この記事の後半で作る依頼文と同じ考え方です。何を詠みたかったかが伝わっていれば、講師はその意図と句の差を指摘できます。
一句の疑問を一度だけ聞きたい人には、半年の講座は費用も期間も大きすぎます。反対に、毎回の句を同じ講師に見てもらい、基礎から続けたい人には、提出回数とテキストがそろっている点が合います。
四つの方法を、提出数・題詠・返ってくるもの・費用で比べる
| 方法 | 自分の句に必ず返答があるか | 返ってくるもの | 題詠の句を出せるか |
|---|---|---|---|
| 句会 | ない。選ばれた句が読み上げられる | 選ばれたかどうか、選者や参加者の読み。講評は会しだい | 題が出る場なので、題詠そのもの |
| 誌上の投句・講評コーナー | ない。掲載は選ばれた句だけ | 掲載された句と選評 | 募集の決まりによる |
| 単発の添削 | ある | 講評、改作案(形は依頼先ごと) | 題の指定は依頼先のページに記載なし。題詠の句なら題を書き添えて頼む |
| 通信講座 | ある(提出ごと) | 添削、助言、テキストでの学習 | 課題の形は講座ページに記載なし。資料で確かめる |
| 方法 | 提出数の例 | 費用の例(確認したページの表示) | 向く人 |
|---|---|---|---|
| 句会 | 題ごとに数句。会の決まりによる | 会費・会誌代は会ごと | 読まれ方を知りたい。人と続けたい |
| 誌上の投句・講評コーナー | 募集ごと | 例:川柳マガジンの読者参加コーナーは定期購読者専用 | 発表の場がほしい |
| 単発の添削 | 例:公募スクール「川柳」は1回5句まで | 例:5句以内3,300円〜、郵送受け取りは別に1,000円。ココナラの川柳対応の出品は1,000〜2,000円の表示 | 数句の疑問を確実に聞きたい |
| 通信講座 | 例:NHK学園は6か月で5〜6回、12か月で10回 | 例:26,600〜28,600円 | 基礎から期間を決めて学びたい |
表の金額は確認したページの表示で、受付状況や料金は変わることがあります。申し込む前に、それぞれのページで最新の案内を読んでください。
確認表申し込む前の確認表
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川柳に対応していると明記されているか(短歌・俳句だけの添削ではないか)
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一回に見てもらえる句数と、題詠の句を出してよいか
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総額(入会金・教材費・送料・郵送の追加料金・手数料を含めていくらか)
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返ってくるものの形(講評だけか、改作案が付くか)と、返却までの期間
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返答への質問ができるか、いつまでか
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添削後の句を自分の作品として発表してよいか。講評の文面を公開してよいか
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これから公募に出す予定の句なら、その公募の未発表の条件に触れないか(公募ごとの要項で確かめる)
句の意図を伝える依頼文を作る
添削を頼むときに一番大切なのは、その句で見つけたことと、変えたくない言葉を先に伝えることです。これがないと、添削者は句だけを見て、自分ならこう詠むという方向へ直すしかありません。
次の架空の一句で、依頼文を作ります。川柳会の宿題「財布」(題の語を句に入れる決まり)に出す予定の句です。
作例・川柳相談したい一句(架空の例)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| キャッシュレス | きゃっしゅれす | 5音 |
| 祖父の財布は | そふのさいふは | 7音 |
| 孫写真 | まごしゃしん | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
作者のメモ:支払いをスマートフォンで済ませるようになった祖父の財布を見せてもらったら、お金はほとんど入っておらず、孫の写真ばかりが入っていた。見つけたのは「財布の中身が、お金から孫に入れ替わった」こと。
ひな形川柳一句の講評・添削の依頼文(架空の例)
件名:川柳一句の講評のお願い(題詠「財布」) 川柳を一句見ていただきたく、ご連絡しました。 【作品】 キャッシュレス祖父の財布は孫写真 (きゃっしゅれす そふのさいふは まごしゃしん) 【題】 川柳会の宿題「財布」に出す予定です(題の語を句に入れる決まりです)。 【この句で見つけたこと】 支払いをスマートフォンで済ませるようになった祖父の財布には、お金がほとんどなく、孫の写真ばかりが入っていました。財布の中身が、お金から孫に入れ替わったことを詠みたいと考えています。 【特に聞きたいこと】 1. 下五の「孫写真」という詰めた言い方は、初めて読む人に通じるでしょうか。 2. 上五の「キャッシュレス」が、説明や流行の言葉に寄りすぎていないでしょうか。 【変えたくないこと】 ・祖父の財布の中身が入れ替わったという発見 ・題の語「財布」と、祖父という人物 【返答の形について】 改作案をいただける場合は、どこをなぜ変えたかを一言添えていただけると助かります。 【その他】 この句は未発表で、来月の句会に出す予定です。いただいた講評の文面を公開する予定はありません。
各欄の役割は次のとおりです。
- 作品とよみ:読み違いを防ぎ、音数の確認にもなります。
- 題:題詠の句は、題と詠み込みの決まりを書かないと、添削で題の語が消える案が返ってくることがあります。
- この句で見つけたこと:句に書けなかった情報を渡します。添削者は、この欄と句の差を指摘できます。
- 特に聞きたいこと:一つか二つにしぼると、返答が具体的になります。
- 変えたくないこと:発見と、残したい言葉を守ります。
依頼先に決まった投句用紙や入力欄がある場合も、「見つけたこと」「聞きたいこと」「変えたくないこと」の三つを短く書き添えます。
依頼文の書き方を、小説など川柳以外の作品も含めて詳しく知りたい場合は、添削・講評の依頼文の書き方が参考になります。
返ってきた案を、そのまま正解にしない
改作案は採点ではなく、「ほかの人ならこう詠む」という一つの案です。採るかどうかは作者が決めます。上の依頼文に、次の二つの改作案が返ってきたと仮定します(架空の返答です)。
改作案1:下五を話し言葉に
相談した句
作例・川柳相談した句
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| キャッシュレス | きゃっしゅれす | 5音 |
| 祖父の財布は | そふのさいふは | 7音 |
| 孫写真 | まごしゃしん | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
改作案1
作例・川柳改作案1(架空の返答)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| キャッシュレス | きゃっしゅれす | 5音 |
| 祖父の財布は | そふのさいふは | 7音 |
| 孫ばかり | まごばかり | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
変更の理由
- 添削者の説明(架空):「孫写真」は詰めた言い方で硬い。「孫ばかり」にすると話し言葉になり、財布が孫であふれている可笑しさが出る。
- 作者の判断:聞きたかった点1への答えで、発見(中身の入れ替わり)も、題の語も、祖父も残っている。「写真」が消えて、財布に孫そのものが入っているような誇張になったが、この句で残したい可笑しさにはむしろ合うと考え、採る。
作例・川柳改作案2(架空の返答)
| 句 | よみ | 音数 |
|---|---|---|
| キャッシュレス | きゃっしゅれす | 5音 |
| 祖父は財布を | そふはさいふを | 7音 |
| 持たぬまま | もたぬまま | 5音 |
合計17音(5・7・5)/川柳の基準どおり
改作案2は、財布を持たなくなった祖父の姿に焦点を移した案です。句としては成り立っていますが、作者が見つけた「中身が孫に入れ替わった」発見が消えています。依頼文の「変えたくないこと」に当たるので、作者は採らないと決めます。ただし、「キャッシュレス」から財布を持たない人へ話が流れやすい、という指摘は、上五が時事の言葉に寄っていないかという聞きたかった点2への手がかりになります。上五だけを別の言葉に替える案を、自分で作ってみる価値があります。
返答を受け取ったら、次のような採否メモを作ると、納得できた点だけを自分の句に生かせます。
| 指摘・案 | 発見と変えたくない言葉は残るか | 採る・保留・採らない | 理由 |
|---|---|---|---|
| 下五を「孫ばかり」に | 残る | 採る | 話し言葉で通じやすく、誇張の可笑しさが合う |
| 財布を持たない祖父の句に | 発見が消える | 採らない | 中身の入れ替わりを詠みたい句ではなくなる |
| 上五が流れを作りすぎる(改作案2から読み取った点) | 残る | 保留 | 上五の別案を自分で三つ作ってから決める |
納得できない点は、保留にしてかまいません。数週間置いて読み直すと、指摘の意味が分かることもあります。
目的に合わせて、頼み先を一つ選ぶ
ここまでの比較で、自分に必要なのが「発表」「読まれ方」「一句への確実な返答」「続けての指導」のどれかが決まったら、候補を一つ選び、確認表の項目を確かめます。お金をかけずに始めたい場合は、川柳会の句会、投句欄への投稿、入門書を使った自分での推敲が代わりになります(本の選び方は川柳の作り方を学ぶ本で比べています)。有料の添削は、自分で直しても残った疑問を確かめるための選択肢の一つで、必須ではありません。