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短歌

短歌の投稿先の選び方|新聞・雑誌・公募・SNSで異なる確認点

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この記事の答え

投稿先は、読まれたいのか、選ばれたいのか、学びたいのかで選びます。

  • すぐ読んでもらいたい → SNSやブログ。ただし公開した歌は、公募によっては「既発表」として扱われる
  • 選者に選ばれたい → 新聞・雑誌の歌壇、公募。選評は入選歌に付くもので、全員に講評が返るわけではない
  • 続けて学びたい → 結社や歌会、毎月の歌壇への投稿を続ける

送る前には、その回の要項で未発表の範囲・二重投稿・首数・題・表記・結果発表までの扱いを確かめ、送った歌と送り先を記録しておきます。

目次

一首できたので、どこかに出してみたい。新聞の歌壇がいいのか、公募に出すべきか、まずSNSに載せていいのか。送り先によって、投稿したあとに起きること――選ばれるのか、講評が返るのか、どこまで公開されるのか――はかなり違います。この記事では、目的別に投稿先を比べたあと、架空の募集要項を読んで提出前の確認表を作ります。

送る目的を「読まれる」「選ばれる」「学ぶ」に分ける

まず、なぜその歌を外に出したいのかを一つ選びます。目的によって、向く送り先と、投稿したあとに起きることが変わります。

目的 向く送り先 投稿したあとに起きること
読まれる SNS・ブログ、短歌の投稿サイト、ネットプリントなど 投稿した瞬間から公開される。反応は読んだ人しだい
選ばれる 新聞・雑誌の歌壇、テレビ番組の投稿、公募・短歌賞 選者が選んだ歌だけが掲載・発表される。落選の理由は通常は知らされない
学ぶ 結社、歌会、毎月の歌壇への投稿を続けること 選ばれる歌と選ばれない歌の差を、続けるうちに知る

一首を同時に複数の目的に使おうとすると、困ることがあります。たとえば、SNSで先に反応を見てから公募に出そうとすると、その公募が「インターネットでの発表歴がある歌は不可」としていれば出せなくなります。公募に出す予定の歌は、先に公開しないのが安全です。

また、どの送り先も「添削」ではありません。歌壇の選評は選ばれた歌について書かれ、送った全員に返事が届くわけではありません。自分の歌への具体的な返答がほしい場合の選び方は、短歌の添削はどこに頼む?で扱っています。

投稿先ごとに、投稿したあと何が起きるかを比べる

投稿先 選考と講評 公開範囲・費用 落選した歌の扱い
新聞の歌壇 選者が選ぶ。選評は入選歌に付く 入選歌が紙面に載る。はがき代程度 選ばれなかった歌は公開されない
雑誌・テレビの投稿欄 選者が選ぶ。誌面や番組で入選歌を紹介 誌面・放送で公開。雑誌代や通信費 同上
公募(一首〜数首の大会) 選者が選ぶ。入選作品集に選評が載ることがある 入選作は作品集やウェブで公開。投稿料が必要なものもある 結果発表までは他に出せない決まりのことがある
公募(連作の新人賞) 選考委員が選ぶ。選考経過が誌面に載ることがある 受賞作・候補作が誌面に載る 同上。長い連作は書き直しに時間がかかる
結社 選者が毎月選歌する。添削の有無は結社ごと 会誌に掲載。会費が必要 会誌に載らなかった歌は公開されない
SNS・ブログ 選考なし 投稿した時点で公開。無料 ― (載せた時点で発表歴が残る)

以下、それぞれの特徴と、確かめておく点を見ていきます。例として挙げる媒体の条件は、各主催者のページで確かめた内容です。条件は回ごとに変わるので、送る前に必ずその回の案内を読んでください。

新聞の歌壇

全国紙や地方紙には、読者の短歌を選んで載せる欄(歌壇)を設けているところがあります。決まった曜日や月ごとに載るので、継続して送りやすいのが特徴です。

たとえば熊本日日新聞の「読者文芸」の投稿案内では、短歌は次のように決められています。

  • はがき1枚に2首以内、各選者あて1人月1枚
  • 毎月10日必着、郵送のみ
  • 未発表作品に限る
  • 同じ作品を異なる選者に出すことはできない
  • 入選作は土曜朝刊に掲載

熊日のように、選者が複数いる欄で「同じ歌を別の選者に送らない」と定めている新聞があります。一枚のはがきに何首書けるか、一人が月に何枚送れるかも新聞ごとに違います。

雑誌・テレビの投稿欄

短歌の総合誌には、読者の歌を選んで載せる欄があります。たとえば短歌研究社のサイトでは、雑誌『短歌研究』の読者投稿欄「短歌研究詠草」について、電子版から投稿できるようになったことを案内し、詳しくは誌面を見るよう書いています。雑誌の投稿欄は、投稿の方法や題が誌面に載っている場合があるので、まず誌面で確かめてから送ります。

テレビでは、NHKの「NHK短歌」が番組ページから回ごとのテーマの投稿フォームを案内し、入選歌を番組で紹介しています。テーマと締切は回ごとに変わります。

公募:一首単位の大会と、連作の賞

公募には、一首〜数首で出す短歌大会と、数十首の連作で出す新人賞があります。同じ「公募」でも準備がまったく違います。

一首〜数首の大会の例として、第28回NHK全国短歌大会の募集を見ると、

  • 自由題2首、または自由題2首と題詠1首の3首1組(題詠は「間」の字を必ず入れる。題詠だけの投稿は不可)
  • 投稿料は自由題2首2,500円、3首1組3,500円(税込)。3首1組に講評が付いて返る投稿(5,500円)もある
  • 未発表の自作に限り、既発表作品や、新聞・雑誌・結社誌・SNSなどへの同一・類似作品の投稿は不可。結果発表(2027年3月)まで発表しない
  • 締切はネット・郵送とも2026年11月16日

となっています。同じ大会には、新作15首1組で表題を付けて出す「近藤芳美賞」の部もあります。

連作の新人賞の例として、短歌研究社の短歌研究新人賞(第69回)の応募規定では、未発表の新作短歌30首で、一枚目に表題と氏名を書き、二重送稿は受け付けないとしていました。原稿の書式(原稿用紙かA4縦書き12ポイント以上など)や、メールでの応募はできないことも決められています。第69回は締め切られており、次の回の規定は改めて確かめる必要があります。

連作の賞に出すなら、一首ずつの出来に加えて、並び順と題名で一つの作品にまとめる作業が必要です。首数のそろえ方や並べ方は短歌の連作の作り方で扱っています。

結社の会誌

結社は、会員が毎月歌を送り、選者が選んだ歌を会誌に載せる団体です。たとえば塔短歌会の入会案内では、一般会員は半年9,000円の会費で、月に1度、10首以内を送り、選者による選歌を受けて、3か月後に冊子に掲載されると説明しています。

結社は「投稿先」であると同時に、「続けて学ぶ場」でもあります。毎月の選歌の結果から、自分の歌のどれが選ばれやすいかが見えてきます。結社誌に載った歌は、公募によっては「発表済み」として扱われる(NHK全国短歌大会は結社誌を明記している)ので、公募に出したい歌との使い分けを考えておきます。

SNS・ブログなどのネット公開

SNSやブログは、選考なしで、すぐに読んでもらえます。同じ歌が好きな人とつながれる、反応の言葉から読まれ方が分かる、という良さがあります。

その一方で、確かめておきたい点が三つあります。

  • 公募の未発表条件:上のNHK全国短歌大会のように、WEBやSNSへの同一・類似作品の投稿を明記して禁じている公募があります。いったん載せた歌は、削除しても「発表済み」と扱われる可能性があります。
  • 限定公開の扱い:鍵付きアカウントや会員限定の場所に載せた歌を「発表」とみなすかは、公募ごとに違います。要項に書かれていなければ、主催者に問い合わせます。考え方は小説の公募を例にした「未発表」の確認方法が参考になります。
  • 反応は評価ではない:いいねの数は、歌の出来というより、投稿した時間や見た人の数にも左右されます。

未発表・重複・首数を、送る前に確かめる

送り先が決まったら、その回の要項から次の三つを必ず確かめます。どれも、送り先ごとに定め方が違い、ほかの送り先の決まりを当てはめることはできません。

未発表:「どこに載ったら発表か」を要項の言葉で読む

「未発表」とだけ書かれた要項もあれば、新聞・雑誌・歌集・SNS・ブログなどを具体的に挙げている要項もあります。歌会に出しただけの歌、結社誌に載った歌、友人とのやり取りで見せた歌をどう扱うかも、要項によって違います。

要項に書かれていない場合は、自分で「たぶん大丈夫」と判断せず、主催者に問い合わせます。

重複:同時に出す、結果を待つ、落選後に出し直す

二重投稿の決まりは、次の三つの場面で問題になります。

場面 確かめること
同じ歌を同時に別の送り先へ出す 二重投稿として禁じている公募や歌壇がある。新聞でも、同じ歌を別の選者に送れない決まりがある
結果を待っている間に、他へ出す・公開する 結果発表まで他に出さない・発表しないと定める公募がある
落選した歌を別の公募に出し直す 結果発表後なら出せる場合もあるが、発表の場で公開されていないか、次の公募の未発表条件に合うかを確かめる

似た歌の扱いにも注意します。言葉を少し変えただけの歌を別の送り先に出すと、「類似作品」として扱われる場合があります。同時応募や改稿作の考え方は、小説の公募を例にした二重投稿の確認方法でも整理しています。

首数・題・表記

確かめる点 例 見落としやすいところ
首数 はがき1枚に2首以内/2首または3首1組/15首/30首 「以内」なのか「ちょうど」なのか
題 自由題、題詠(題の字を必ず入れる、など) 題をかなで書いてよいか。題詠だけで出せるか
表題 連作の賞では表題を求めるものがある(近藤芳美賞、短歌研究新人賞など) 表題を首数に含めるか
表記・読み 難読語のふりがな、旧仮名の扱い 応募用紙に一首を一行で書くか、分かち書きか
書式 原稿用紙、A4縦書き、文字の大きさ メール応募の可否、ファイル形式

架空の募集要項を読んで、提出前の確認表を作る

ここからは、架空の短歌大会の要項を使って、読み取り方を練習します。実在の大会ではありません。

作例第3回 みなと短歌大会 作品募集(架空の例)

応募作品:自由題2首1組、または自由題2首と題詠1首の3首1組。題詠の題は「橋」。「橋」の字を必ず詠み込むこと。題詠のみの応募はできません。

応募資格:どなたでも。一人何組でも応募できますが、同じ作品を複数の組に入れることはできません。

未発表の定義:新聞・雑誌・歌集・結社誌・同人誌・インターネット(SNS・ブログを含む)に発表していない作品。歌会に出した作品は未発表とみなします。

二重投稿:他の大会・公募・投稿欄との二重投稿は不可。結果発表(翌年3月)まで、応募作品を他に発表しないでください。

投稿料:1組1,000円。

応募方法:専用の応募用紙(郵送)またはウェブフォーム。読みにくい語にはふりがなを付けてください。

締切:郵送は11月30日必着、ウェブは11月30日23時59分。

その他:応募作品は返却しません。選評は入選作品集に掲載します。入選作品は作品集と主催者のウェブサイトに掲載します。

要項の文と、自分の歌で確かめることを、表に書き出します。

要項の文 読み取ったこと 自分の歌で確かめること
自由題2首1組、または3首1組。題詠のみは不可 題詠を出すなら、自由題も2首そろえる 自由題が2首あるか
「橋」の字を必ず詠み込む 「はし」とかなで書いたり、「ブリッジ」と言い換えたりすると、題詠にならないおそれがある 漢字の「橋」が入っているか
SNS・ブログを含むネットでの発表は不可。歌会に出した作品は未発表とみなす 歌会に出しただけの歌は出せる。SNSに載せた歌は出せない 送る歌をSNSに載せていないか
結果発表(翌年3月)まで他に発表しない 約4か月、その歌はほかの公募にもSNSにも出せない 同じ歌をほかに出す予定がないか
同じ作品を複数の組に入れない 2組出すなら、6首とも別の歌にする 組どうしで歌が重なっていないか
選評は入選作品集に掲載 落選した歌に講評は返らない 講評がほしいなら別の方法を考える
入選作品は作品集とウェブに掲載 入選すると、ネットでも公開される 筆名で出すか本名で出すか

この例の要項は「歌会に出した作品は未発表とみなす」としていますが、これは架空の例のための設定です。実際の募集では、歌会や結社誌の扱いは主催者ごとに違います。

確認表短歌を送る前の確認表

  • その回の要項を、主催者・媒体のページや誌面で読んだ(去年の要項やほかの公募の条件を当てはめていない)
  • 首数(「以内」か「ちょうど」か)、組の数、表題の要否を確かめた
  • 題詠の題の入れ方(漢字・かなの指定)を確かめた
  • 送る歌が、要項の「未発表」に当てはまる(SNS・ブログ・結社誌・歌会の扱いを確かめた)
  • 同じ歌・似た歌を、ほかの公募や投稿欄に出していない。結果発表まで発表しない予定にした
  • 一首ずつ、読み・音数・表記(仮名遣いの統一、ふりがな)を確かめた
  • 投稿料の額と払い方、締切の「必着」「消印有効」「時刻」を確かめた
  • 氏名・筆名・住所など、要項が求める記入事項をそろえた
  • 送った歌と送り先、結果発表の時期を記録した

一首ずつの読みと音数を確かめるときは、かな入力の音数確認が使えます。

送ったあとに、投稿記録を残す

投稿を続けると、どの歌をどこに送ったかが分からなくなります。二重投稿を防ぎ、落選した歌を次に出せる時期を知るために、簡単な記録を付けておきます。

ひな形短歌の投稿記録(コピーして使えます)

歌(一行で):
読み:
送り先(媒体・大会名・回):
選者・部門・題:
送った日:
結果発表の時期:
ほかに出せるようになる時期:
結果:
メモ(入選・選評・次に直したい点):

「ほかに出せるようになる時期」の欄を付けておくと、結果待ちの歌をうっかりSNSに載せたり、別の公募に出したりするのを防げます。落選した歌は、結果が出たあとに推敲して、別の送り先へ出し直すこともできます。直し方は短歌の推敲のやり方で扱っています。

新聞の歌壇に毎週送る、結社で毎月選を受ける、年に一度は連作の賞に挑む、というように、目的の違う送り先を組み合わせることもできます。そのときは、どの歌をどの目的に使うかを先に決め、記録で管理しておくと、条件の食い違いを避けられます。