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学び方・選び方

小説のオンライン講座の選び方|添削・個別指導・グループ講座を比較する

この記事の答え

小説の講座は、講義を聞きたいのか、自分の原稿に返答がほしいのかで選ぶ形式が変わります。

  • 原稿がまだない人は、まず無料の入門記事や本で短い一作を書く。講座を使うなら、講義と課題がそろった形式(ライブ授業や録画)から
  • 短編の初稿がある人は、提出した作品に個別の批評文が返る形式(通信添削など)を選ぶ
  • 長く書き続けたい人は、合評の場があり、半年〜一年単位で提出できる形式が合う

比べるときは、提出できる分量と回数、講評が全員に返るか、総額と期間、途中でやめる場合の条件を、同じ表にそろえて確かめます。

目次

小説の講座に申し込んだのに、思っていた指導と違った、という行き違いは、「講座」という言葉に別々の仕組みが含まれていることから起きます。この記事では、講座の形式ごとに何が返ってくるかを整理し、三つの講座を同じ項目で比べます。最後に、申し込む前に確かめる質問をそのまま使える形で載せます。

講座の形式ごとに、返ってくるものが違う

オンラインの小説講座は、大きく分けて次の四つの形式の組み合わせでできています。

形式 受講者がすること 返ってくるもの 返ってこないもの
録画の講義(動画) 好きな時間に視聴する 講義の内容 自分の原稿への返答。質問できないこともある
ライブ授業 決まった時刻に参加し、質問する 講義と、その場での質疑 原稿への返答は、提出の仕組みがない限りない
通信添削・個別講評 作品を提出し、返却を待つ 自分の作品への批評文や書き込み 他の受講者の作品を読む機会は少ない
合評(グループ講座) 自分と他人の作品を読み、意見を言い合う 複数の読者の反応、他人の原稿を読む練習 一人ひとりへの詳しい文章での講評は、仕組みによる

講義は「どう書くか」の知識を、個別講評は「自分の原稿のどこをどう直すか」を、合評は「読者にどう読まれたか」を受け取る場です。どれが上というものではなく、今の自分に足りないものが知識なのか、原稿への返答なのか、読者の反応なのかで選びます。

実際の講座は、これらを組み合わせています。たとえば「ライブ授業+録画の見直し+提出作への講評+合評」のような形です。広告や紹介文の「添削つき」「プロが指導」という言葉だけで判断せず、誰の、どの作品に、どんな形で返答があるかを確かめます。

個別とグループは、どちらを先に選ぶか

比べる点 個別(通信添削・個別講評) グループ(合評・ゼミ)
返答の対象 自分の作品だけ 自分の作品と他人の作品
返答の形 批評文や書き込みなど、手元に残る形で返る仕組みがある 口頭の意見が中心の場合は、記録を自分で取る
他人の原稿を読むこと 少ない 毎回ある。読む力も練習になる
向く人 人前で作品を見せるのに抵抗がある、時間が不規則 読者の反応を複数ほしい、仲間と続けたい
注意点 一人の講師の見方に偏る。講師との相性が大きい 自分の作品が取り上げられる回数に限りがある

最初は個別、慣れたら合評、という順にする人もいますし、両方がそろった講座を選ぶ方法もあります。

原稿の段階で、合う形式を選ぶ

同じ講座でも、原稿があるかないかで受け取れるものが変わります。次の四つの学習ケースで、合う形式を整理します(いずれもこの記事のための架空のケースです)。

学習ケース 今の状態 まず合う形式 まだ急がなくてよいもの
A まだ構想段階 書きたい題材はあるが、一作も完成していない 無料の入門記事や本、または講義と短い課題がある講座 長い作品の個別添削(直す原稿がまだない)
B 短編の初稿がある 30枚前後の短編を書き上げた。何が足りないか分からない 提出作に個別の批評文が返る形式。単発の講評も候補 一年単位の講座(一作への返答だけなら単発で足りることがある)
C 長編を継続して書く 長編を書き進めていて、半年〜一年かけて仕上げたい 定期的に提出でき、合評や講評が続く半年〜一年単位の講座 講義だけの動画講座(進み具合への返答がない)
D 特定のジャンルで新人賞を目指す SFやミステリなど書くジャンルが決まっている ジャンル別の課題や、編集者・作家の講評がある講座 ジャンルを問わない基礎講義だけの講座

ケースAの人は、講座に申し込む前に、短い一作を無料の手順で書き上げてみると、講座で何を聞きたいかがはっきりします。手順は小説の書き方|初心者が最初の一作を完成させる手順に、本で体系的に学ぶ場合の選び方は小説の書き方を学ぶおすすめ本にまとめています。

ケースBの人は、継続講座が本当に必要かを一度考えます。一作への返答がほしいだけなら、講座ではなく単発の講評で足りることがあります。

指導範囲と提出分量をそろえて確かめる

講座の説明で見落としやすいのが、提出できる量と、返ってくる範囲です。次の五つを、どの講座でも同じ言葉で書き出します。

  1. 提出の回数:期間中に何回、作品を出せるか
  2. 一回の分量:原稿用紙何枚、または何字まで受け付けるか
  3. 返答の形:批評文、原稿への書き込み、口頭の講評、点数のどれか
  4. 返答の対象:提出した全員か、選ばれた人だけか
  5. 返答までの時間:提出から何日・何週間で返ってくるか

特に4は重要です。講評の場が公開されていても、提出者全員に個別の講評を約束する仕組みとは限りません。後で比べるSF創作講座の例のように、梗概(作品の要約)は全員が出し、実作の講評は選ばれた人だけ、という仕組みもあります。自作への返答を確実に受けたい人と、講評の場を見て学びたい人とでは、選ぶ講座が変わります。

三つの講座の条件を比べる

以下は、三つの講座の形式・提出・費用などを、運営者の公式ページの記載に基づいて比べたものです。条件は期ごとに変わることがあります。順位は付けていません。ページに書かれていなかった項目は「記載なし」としています。

確かめる項目 文想 大阪校 創作・小説コース 大阪文学学校 本科通信教育部 ゲンロン 大森望 SF創作講座(第8期の条件)
運営 作家養成塾 文想(日本放送作家協会 主催) 一般社団法人 大阪文学協会 ゲンロン
形式 教室とオンラインを講義ごとに選べる。欠席時・復習用の講義ビデオ配信あり(機材の不具合などで配信できない場合あり) 作品を郵送・持参で提出し、批評文が返る。年4回のスクーリングで合評 月1回の講義とワークショップ(梗概講評・実作講評)。会場またはオンライン。講義と講評の動画アーカイブあり
期間・回数 半期(春期5〜10月、秋期11〜4月)全20回。火曜昼・夜クラス 1年間(半年分の学費納入で半年だけの在籍も可) 2024年9月〜2025年8月、原則月1回
提出 課題は各期平均10回程度。ショートストーリーや30枚程度の短編など 締切は半年に2回。小説は初心者は5〜10枚が目安で、20枚・30枚と増やしてもよい(200枚超は事前相談) 作家コースは毎回、梗概1,200字以内とアピール400字以内。選ばれた3名が次回までに40枚以内の短編を提出
返答 提出作にプロの作家が助言。提出作の配布・合評あり チューターがほぼ1か月かけて添削しながら批評文を書き、作品とともに返却。作品集に載った作品はスクーリングで合評 梗概は講評の対象。実作の講評は選ばれた人のみ。聴講コースは提出・講評なし
費用(税込) 入学金22,000円(早期16,500円)。受講料は一括116,600円、5回払いは計122,100円 本科の一括納入金129,000円(年間学費120,000円+教材費9,000円)。分割あり。入学金の記載なし 第8期はコース別(作家・聴講・オンライン聴講)の一括払い。次期の金額はその期の募集ページで確かめる
退会・返金 講座ページ・受講システムページに記載なし 募集要項に退学・返金規定の記載なし 第8期の要項では、いかなる事情でも返金なし(主催者側の事情による中止を除く)。受講確定後のキャンセル不可
体験・見本 無料体験あり(要予約、1コースにつき1回、オンライン参加可) 公開講座あり。通信教育部の見学は記載なし 梗概は受講生以外も読める専用サイトで公開

注意表の読み方と限界

  • ゲンロンSF創作講座の条件は、公式ページに載っている第8期(2024年9月〜2025年8月)の募集要項によるものです。次の期が開講されるか、同じ条件かは、その期の募集ページで確かめてください。仕組みの例として載せています。
  • 大阪文学学校の費用は、募集要項で昼間部・夜間部・通信教育部を区別せずに示された本科の納入金です。通信教育部だけの金額は書かれていませんでした。トップページのお知らせでは、通信教育部の受講者がスクーリングにZoomで参加できると案内されています。
  • 費用・日程・講師は期ごとに変わります。申し込む期の募集ページで確かめてください。

三つの講座が向く人・向かない人

講座 向く人 向かない人
文想 大阪校 創作・小説コース 決まった曜日に講義へ参加でき、課題を出しながら半年続けたい人。合評も受けたい人 平日の決まった時間がまったく取れない人(録画はあるが、課題と合評は進行に合わせる必要がある)
大阪文学学校 本科通信教育部 自分のペースで書き、作品ごとに文章の批評文を受け取りたい人。一年かけて書き続けたい人 提出してすぐに返答がほしい人(返却まで約1か月)。メールで提出したい人(提出は郵送・持参)
ゲンロン SF創作講座 SFを書き、梗概と実作の講評の場を見て学びたい人。公開の場に梗概を出せる人 自分の実作に必ず講評がほしい人(実作講評は選抜制)。作品を非公開にしたい人

総費用・期間・途中でやめる条件を計算する

講座の費用は、月額や一回あたりの金額だけで比べると見誤ります。入学金、受講料、教材費を足した総額と、途中でやめた場合にいくら戻るかをそろえて比べます。

たとえば、上の表の文想 大阪校で一括払いを選ぶ場合、入学金22,000円と受講料116,600円で、半期の総額は138,600円です(早期入学の入学金なら133,100円)。大阪文学学校は、本科の一括納入金で一年129,000円です。一回の講義あたりや一回の提出あたりに直すと比べやすくなりますが、返ってくるもの(講義の時間か、批評文か、合評か)が違うので、金額だけで高い安いを決めないでください。

講評の料金を、文字数・作業範囲・追加費用まで含めて比べる方法は、小説の添削料金はどう比べる?で扱っています。

途中でやめる条件は、ページに書かれていないこともある項目です。上の三つの講座でも、二つは退会・返金の条件が公式ページに書かれていません。書かれていない場合は、申し込む前に問い合わせて、回答を文面で残しておきます。

講師の情報と、講評の見本を確かめる

講師の名前が公開されていても、それだけでは自分の原稿にどんな返答が来るかは分かりません。次の二つを確かめます。

  • 誰が講評するか:講義をする講師と、提出作を読む人が同じとは限りません。通信の講座では、作品を読む担当(チューター)が講義の講師と別のことがあります。
  • 講評の見本があるか:実際の批評文の例、講評の動画、公開されている梗概と講評など、返答の形と長さが分かる資料を探します。見本がなければ、無料体験や見学で、講評の場面を一度見られるかを尋ねます。

講師や講座の実績として、受講者の受賞者数が紹介されることがあります。受賞は受講者自身の作品と努力の結果でもあるため、講座を選ぶ根拠としては、提出量と返答の仕組みのほうを重く見ます。

申し込む前に確かめる質問リスト

公式ページに書かれていない項目は、問い合わせで確かめます。次の文面は、そのまま問い合わせフォームやメールに使えます。

ひな形講座の受講前の問い合わせ(コピーして使えます)

件名:受講前の確認(〇〇コース)

〇〇コースの受講を検討しています。申し込む前に、次の点を教えてください。

1. 期間中に作品を提出できる回数と、一回あたりの上限の分量(字数または枚数)
2. 提出した作品には、受講者全員に講評がありますか。講評は文章で返りますか、口頭ですか
3. 提出から講評が返るまでの、おおよその期間
4. 講評を担当する方(講義の講師と同じ方か)
5. 総額(入学金・受講料・教材費などすべて)と支払い方法
6. 途中で退会・休学する場合の手続きと、返金の有無・計算方法
7. 授業を欠席した場合の録画視聴の期間
8. 提出した作品の公開範囲(ほかの受講者や受講者以外が読めるか)
9. 講評の見本、または無料体験・見学の機会

私の状況:〔例:30枚の短編の初稿が一作あります。ジャンルは現代もの〕

最後の「私の状況」を一行書いておくと、返答が具体的になりやすくなります。8は、作品をあとで新人賞に出す予定がある人には特に大事です。公開範囲によっては、応募先の「未発表」の条件に関わることがあります。確かめ方は小説公募の「未発表」とは?で扱っています。

無料の教材や単発の講評で足りる場合

講座は、続けて書くための締切と、継続した返答を買う仕組みです。次のような場合は、講座に申し込まなくても目的を果たせることがあります。

確認表講座の前に、無料や単発で足りるか確かめる

  • 知りたいのが書き方の知識だけで、自分の原稿への返答は今はいらない(本や無料の記事で足りる)
  • 一作だけ、完成した原稿の弱点を知りたい(単発の講評で足りる)
  • 締切がないと書けないが、返答はなくてもよい(公募の締切や、自分で決めた執筆計画で代わりになる)
  • 読者の反応がほしいだけで、指導はいらない(投稿サイトや身近な読み手への感想の依頼で足りる)
  • 講座の無料体験や公開講座で、自分に足りないものが分かれば十分

一つも当てはまらず、「半年以上、締切と返答がほしい」「同じ講師に、何作も続けて見てほしい」と思える場合は、継続講座を選ぶ意味があります。

継続講座を選ぶ場合の候補

ここまでの表で、半年〜一年単位の講座が自分に合うと判断できた人向けに、提出と返答の仕組みがはっきりしている二つの講座を挙げます。どちらも、退会・返金の条件が公式ページに書かれていないため、申し込む前に上の質問リストで確かめてください。

講評を受けるときに伝えることを依頼文にまとめておきたい場合は、小説の添削・講評の依頼文の書き方の例文が、講座の提出作に添えるメモとしても使えます。