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発表・本作り

小説を書く人の個人サイトの作り方|作品の置き方・必要機能・費用を考える

PRこの記事には広告リンクを含みます。広告と紹介の基準

この記事の答え

個人サイトは、投稿サイトやSNSでは足りない目的があり、更新と支払いを続けられる人が作るものです。

  • 作品を一か所にまとめる、名刺代わりに紹介する、発表歴を並べる、読者から連絡を受ける、の四つのうち、どれが投稿サイトのプロフィールやSNSで足りないかを先に確かめる
  • 最初はトップ(作品一覧)・作品のページ・プロフィール・連絡先の四ページ程度から始め、長編は目次ページ、短詩は連作ごとのページにまとめる
  • 費用はサーバー・ドメイン・バックアップなどを年額で合計する。無料のブログサービスなら0円、有料プランや独自ドメイン、サーバーを使う計算例では年に約8千〜1万3千円台。料金は改定やキャンペーンで変わる
目次

作品が投稿サイトやSNSに散らばってきて、「自分のサイトにまとめたい」と考えたときのための記事です。個人サイトは、作ったあとに更新が止まったり、毎年の費用に気づかなかったりすることもあります。この記事では、投稿サイトで足りる目的と個人サイトが必要な目的を分けたうえで、架空の作者サイトのページ構成、長編と短歌の置き方、年間費用の計算例を示します。読み終えたら、自分が管理できる大きさのサイトを設計できます。

個人サイトが必要な目的かを確かめる

ここでは、個人サイトを作る目的として次の四つを考えます。それぞれ、投稿サイトやSNSの機能で足りることもあります。

目的 投稿サイト・SNSで足りる場合 個人サイトが向く場合
作品の保管 書くのは小説だけで、一つの投稿サイトにまとまっている 小説と短歌、エッセイなど形式が混ざる。複数のサイトに作品が散らばっている
名刺代わりの紹介 投稿サイトのプロフィールに作品一覧と自己紹介がある 名刺や冊子の奥付に、サイトの数字や広告から離れた一つの入口を載せたい
発表歴・公募の結果の一覧 発表がまだ少ない。SNSの固定投稿で足りる 雑誌掲載、同人誌、受賞・入選などを年ごとにまとめたい
読者からの連絡 投稿サイトの感想欄やSNSのメッセージで足りる 依頼や問い合わせを、SNSのアカウントとは別の窓口で受けたい

四つのうち、右の列に当てはまるものが一つもなければ、今は個人サイトを作らなくてもかまいません。投稿サイトのプロフィールを整え、SNSの固定投稿に作品一覧へのリンクを置けば、ここで挙げた目的は果たせます。

右の列に当てはまるものがあっても、すぐに独自ドメインやサーバーを契約する必要はありません。作り方には段階があります。

三つの作り方を同じ条件で比べる

個人サイトの作り方は、大きく三つに分けられます。

作り方 例 年間費用の目安 自分でする管理
無料のブログ・サイト作成サービス はてなブログの無料版、Jimdoの無料プランなど 0円 記事・ページの更新だけ。運営の仕様変更には従う
サービスの有料プラン+独自ドメイン はてなブログProなど 1万円前後(計算例は後述) 更新と、ドメインの更新手続き
レンタルサーバー+独自ドメイン+サイト作成ソフト エックスサーバー、ロリポップ!とWordPressなど 8千〜1万3千円台(計算例は後述) 更新、ソフトのアップデート、バックアップの確認、契約の更新

それぞれの特徴を、もう少し具体的に比べます。

比べる点 無料サービス 有料プラン+独自ドメイン サーバー+独自ドメイン
サイトのアドレス サービスのドメインの下になる 自分のドメインにできる 自分のドメインにできる
広告 はてなブログの無料版では表示される はてなブログProでは非表示にできる 自分で入れない限り表示されない
デザインとページ構成の自由 テンプレートの範囲 テンプレートの範囲で、少し広がる 最も自由。そのぶん自分で決めることが多い
移るとき・やめるとき アドレスが変わる ドメインを持っていれば、移ってもアドレスを保てる 同じ
向く人 まず形にしてみたい人 アドレスを長く使いたいが、サーバー管理はしたくない人 ページ構成を自由に作り、管理作業も続けられる人

サイト作成サービスにも、Jimdoのように無料プランがあり、有料プランで独自ドメインを使えるものがあります。料金や無料プランの制限はサービスごとに違い、画面の表示で確かめる必要があります。この記事では、公式の料金ページで金額を確認できたサービスだけを計算例に使います。

架空の作者サイトでページ構成を描く

ここからは、架空の作者「水町ふゆは」のサイトを例に、ページ構成を考えます。水町さんは、投稿サイトで長編を連載しながら、短歌も作っています。目的は「形式の違う作品を一か所にまとめる」と「名刺に載せる入口を作る」の二つです。

トップ(新着と作品一覧を兼ねる)
├─ 長編「潮見坂の灯台」
│   ├─ 目次
│   └─ 第1話〜第24話
├─ 短歌(連作ごとに1ページ)
│   ├─ 連作「冬の浴室」12首
│   └─ 連作「引っ越しの朝」8首
├─ プロフィール(発表歴を含む)
└─ 連絡先

各ページの役割と、最初から必要かどうかを表にします。

ページ 役割 最初から必要か 更新の頻度
トップ(作品一覧) 作品の入口。形式ごとに分け、題名・長さ・状態(完結・連載中)・紹介文を並べる 必要 作品を追加したとき
作品のページ 長編は目次と各話、短詩は連作ごとのまとまり 必要 作品を追加・修正したとき
プロフィール ペンネームと読み、書いている形式、発表歴 必要 発表があったとき
連絡先 依頼や感想を受ける窓口 目的に「連絡」があれば必要 ほとんど変えない
更新履歴 いつ何を追加したか 後からでよい 更新のたび
発表歴の独立ページ 掲載誌、同人誌、入選などを年ごとに 発表が増えてからでよい 発表があったとき

最初の段階では、トップ・作品のページ・プロフィール・連絡先の四つで十分です。発表歴はプロフィールの中に数行で書けるうちは、独立したページにしなくてかまいません。発表歴に書くのは、実際にあった掲載や結果だけです。まだ何もなければ、その欄は作らずにおきます。

プロフィールで使う名前の決め方や、名前の周りに出す情報の点検はペンネームの決め方で扱っています。

長編と短詩で、読者の通り道を変える

長編小説と短歌・俳句などの短詩では、読者がページをたどる順番が違います。同じ作り方にすると、どちらかが読みにくくなります。

長編は「目次→各話→次の話」の一本道にする

長編を読む人は、第1話から順に読み進めます。各話のページには、前後の話と目次へ戻る道を必ず置きます。

ひな形長編の目次ページの構成例

作品名:潮見坂の灯台(架空)
長さと状態:全24話・約12万字・完結
紹介文:(読者向けの紹介。結末は書かない)
注意書き:(必要な場合。読者が避けたい描写があれば)
掲載先:(投稿サイトにも載せている場合はその旨)

目次
第一章 灯台守の娘
 第1話 霧笛
 第2話 坂の上の店
 ……
第二章 沖の船
 ……

各話のページの下に置くもの:
← 前の話 | 目次 | 次の話 →

目次の上に置く紹介文は、読む前の判断材料です。結末まで書かず、主人公と状況、読者が抱く問いに絞ります。書き方は小説の紹介文の書き方で確かめられます。

各話の本文を個人サイトにも載せるか、投稿サイトにだけ置いて目次からリンクするかは、管理の手間で決めます。両方に載せると、修正するたびに二か所を直すことになります。

短詩は連作ごとにまとめ、一首ずつのページにしない

短歌や俳句は、一首(一句)ずつページを分けると、ページの数が増えて管理しにくくなり、読者も何度もページを移ることになります。連作や季節ごとに一ページにまとめ、ページの冒頭に連作名・首数・作った時期を書きます。

作品一覧では、長編と短詩を同じ並びに置かず、「小説」「短歌」のように形式で分けます。短歌だけを読みに来た人が、長編の各話の一覧をかき分けずに済みます。

スマホ表示・更新・バックアップを決める

サイトを作る前に、維持のための三つの約束を決めておきます。

手順作る前に決める維持の約束

  1. スマホで読めるか:テンプレートがスマホの画面幅に対応しているかを、作る前に確かめる。小説の本文は、スマホ幅での改行と空行を確かめてから載せる。
  2. 更新の間隔:「作品を追加したとき」だけでなく、「三か月に一度はトップを見直す」など、見る間隔を決める。更新が止まったサイトは、連絡先が使えるのかどうかも読者に分からなくなる。
  3. バックアップの場所:原稿のもとのファイルは、サイトとは別の場所に保存する。サイト自体のバックアップがどこまで自動で取られるかも確かめる。

本文の改行と空行の調整はWeb小説の改行・空白の入れ方で扱っています。

バックアップの扱いは、作り方によって違います。

サービス サイトのバックアップ
エックスサーバー 全プランで毎日自動バックアップ。Web・メールのデータとデータベースを過去14日分保持
ロリポップ! ハイスピード・エンタープライズでは自動バックアップが無料。それ以外のプランは「7世代バックアップ」が有料オプション(月440円)
はてなブログ 記事の履歴保存が無料版で過去5件、Proで過去50件(サイト全体のバックアップとは別のもの)

サーバーの自動バックアップは、サーバー側の事故に備えるもので、保持期間を過ぎた古い状態には戻せません。原稿の保存先と履歴の残し方は小説原稿のバックアップ方法を参考に、サイトとは別に用意してください。

ドメインとサーバーの年間費用を計算する

費用は、月額ではなく年額で合計して比べます。ここで比べたレンタルサーバーはどちらも契約期間で月額が変わり、ドメインは年ごとに更新料金がかかるからです。

費用の項目

項目 内容 確認すること
サーバー サイトのデータを置く場所の料金 契約期間ごとの月額、一括前払いか、更新時の料金
ドメイン 自分のサイトのアドレス(example.comのような名前) 取得料金と更新料金は違うことがある。特典で無料になる条件
サービスの有料プラン ブログ・サイト作成サービスの広告非表示や独自ドメイン設定 コースごとの総額
バックアップ プランに含まれるか、有料オプションか 保持期間、復元の方法
SSL アドレスを https にするための証明書 無料で使えるか

計算例

公式の料金ページに載っていた金額を使った計算例です。サーバーは12か月契約の通常価格で計算し、期間限定のキャンペーン価格は使っていません。ドメインは、例としてエックスサーバーの独自ドメインのページにある .com の更新料金(1,721円)を使います。

構成の例 計算 年額の目安
はてなブログ無料版 無料 0円
はてなブログPro(1年コース)+ .com 8,434円+1,721円 10,155円
ロリポップ!ライト(12か月)+ .com + 7世代バックアップ 539円×12+1,721円+440円×12 13,469円
ロリポップ!ハイスピード(12か月)。自動バックアップと、ドメイン無料の特典を含む 1,045円×12 12,540円
エックスサーバー スタンダード(12か月)。自動バックアップと、ドメイン無料の特典を含む 1,100円×12 13,200円

この表から分かるのは、月額の安さだけでは年額が決まらないということです。ロリポップ!ライトは月額が最も安いものの、バックアップの有料オプションとドメインを足すと、バックアップを含む二つのプランより年額が高くなります。逆に、バックアップは原稿の手元保存で足りると考えるなら、ライトとドメインだけの8,189円に抑えられます。

注意料金を見るときの注意

  • 料金は改定されることがあり、キャンペーン価格には期間があります。申し込む前に、必ず各社の料金ページで現在の金額を確かめてください。
  • エックスサーバーの料金ページは税込表示ですが、ロリポップ!とドメインの料金表には、税込かどうかの明記が見当たりませんでした。比べるときは税の扱いをそろえます。
  • サーバーの料金は契約期間分を一括で前払いする形のことがあり、エックスサーバーの料金ページでも、月額は契約期間の料金を1か月あたりに換算した金額と説明されています。初回の支払いは年額や複数年分になります。
  • エックスサーバーの料金ページでは、契約更新時の具体的な料金は確認できませんでした。長く使う予定なら、更新時の料金も問い合わせなどで確かめます。
  • ドメインを無料にする特典は、サーバーの契約中だけ、あるいはプランや契約期間で条件が付いていることがあります。解約後のドメインの更新料金も見ておきます。

条件に合う人向けの候補

ここまでの比較で、独自ドメインで長く運営する理由があり、更新とバックアップの確認を自分で続けられる見通しが立った人向けの候補を挙げます。まず形にしたいだけの人は、無料のサービスから始めて十分です。

公開範囲と個人情報を決める

個人サイトは、投稿サイトよりも自分で決めることが多いぶん、個人情報が出やすい面もあります。公開する前に次の点を確かめます。

確認表個人サイトの公開前に確かめる個人情報

  • 連絡先にメールアドレスを直接載せず、連絡用フォームか、作者用のアドレスを使った
  • 住所や電話番号、勤務先などをプロフィールや発表歴に書いていない
  • ドメインを取得したとき、登録者の情報を事業者が代わりに公開するサービス(Whois情報の代理公開)を使えるかを確かめ、設定した(エックスサーバーの独自ドメインのページにも、代理公開の対象外となるドメインの注記がある)
  • 写真や画像に、位置情報や住所が分かるものが含まれていない
  • 公募に出す予定の作品を、サイトに載せていない(載せる場合は、応募先の要項で公開済み作品の扱いを確かめた)

最後の項目は見落としやすい点です。個人サイトに載せた作品も、応募先によっては「発表済み」と扱われることがあります。どこまでが公開にあたるかの確かめ方は小説公募の「未発表」とは?にまとめています。

なお、自分のサイトで同人誌などを販売する場合は、販売に関する表示の決まりなども関係してきます。この記事では、作品を読んでもらうためのサイトに範囲を限っています。

小さく作り、続けられる大きさに保つ

個人サイトで避けたいのは、大きく作りすぎて更新が止まることです。作るときも作ったあとも、自分が管理できる大きさを基準にします。

  • 最初は四ページ:トップ(作品一覧)、作品のページ、プロフィール、連絡先から始め、必要になったページだけを足す。
  • 本文の置き場所を一つに決める:本文は投稿サイトに置き、個人サイトは目次と紹介、リンクだけにする方法もある。本文を二か所に置くと、修正の手間が二倍になる。
  • 年に一度の点検日を決める:ドメインとサーバーの更新日の前に、まとめて確かめる。

確認表年に一度の点検

  • ドメインとサーバーの契約更新日、支払い方法の有効期限を確かめた
  • 作品一覧から、すべての作品ページと投稿サイトへのリンクが開ける
  • 連絡用フォームから自分あてに送り、届くことを確かめた
  • サイト作成ソフトやテーマを使っている場合、アップデートを適用した
  • 原稿のもとのファイルとサイトのバックアップが、別の場所に残っている
  • プロフィールと発表歴が、今の活動と合っている

サイトをやめる場合も、急に契約を切らずに手順を踏みます。読者向けに移転先や終了のお知らせを一定期間出し、原稿とサイトのデータを手元に保存してから解約します。独自ドメインを手放すと、そのアドレスを他の人が取得できるようになることがあるので、名刺や冊子に載せたアドレスをどう扱うかも決めておきます。