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小説

小説の応募用あらすじの書き方|結末まで伝える要約の手順と例

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この記事の答え

応募用あらすじは、本文と一緒に読む選考者が筋の全体と結末を短時間で確かめるための要約です。続きを読ませる紹介文とは役割が違います。

  • 完成原稿から「主人公・目的・障害・転機・選択・結末」を抜き出し、出来事を「だから」「ところが」でつながる順に並べる
  • 結末は伏せずに書く。誰が最後に何をし、何が変わったかまで一文で言い切る
  • 字数・置き場所・結末の扱いは賞ごとに違うので、応募する回の要項で確かめてから長さを合わせる
目次

原稿は書き上げたのに、あらすじ欄を前にすると「この先どうなるのか——」と結末をぼかした紹介文になってしまう。この記事では、架空の長編『夜明けの製氷所』を一つ使い、場面の一覧から要素を抜き出し、因果でつなぎ、349字と821字の二つのあらすじに仕上げるまでを順に見せます。読み終えたら、応募先の指定に合わせて、自作の筋と結末が伝わるあらすじを書けます。

応募用あらすじは、結末まで筋を確かめるための資料

応募用あらすじを読むのは、作品を評価する選考者です。選考者は本文も読みますが、あらすじで先に「誰の、どんな話で、どう終わるのか」をつかんでから本文に入ったり、読み終えたあとに構成を確かめたりできます。そのため、続きを読みたくさせる工夫よりも、筋が最後まで正確に追えることが求められます。

応募用あらすじ 読者向けの紹介文
読む人 本文と一緒に作品を評価する選考者 まだ本文を読んでいない読者
目的 筋の全体と構成を短時間で把握してもらう 読むかどうかを決めてもらう
結末 書く 書かない
書き方 出来事を起きた順に、因果が分かるように 主人公の状況と問いに絞り、先を伏せる

投稿サイトの作品ページに載せる紹介文は、目的も伏せ方も正反対です。紹介文の書き方は小説の紹介文の書き方で扱っています。

紹介文になってしまったあらすじの例

この記事で使う架空の長編『夜明けの製氷所』について、応募用のつもりで紹介文の型で書いてしまった例です。

作例紹介文の型で書いた「あらすじ」(直す前)

東京で仕事を辞めた三浦圭は、父が倒れたことをきっかけに故郷の港町へ戻る。父の製氷所を売って町を出るつもりだった圭だが、無口な職人・北島や漁協の人々と過ごすうちに、父が守ってきたものの本当の意味を知っていく。そして迎えた契約の日、圭が下した決断とは——。小さな港町を舞台に、家族と仕事の再生を描く感動の物語。

読む人の楽しみを残す紹介文としてなら、成り立っています。しかし選考用としては、次の点で情報が足りません。

箇所 選考者に伝わらないこと
「本当の意味を知っていく」 何を知ったのか。転機になる出来事が書かれていない
「圭が下した決断とは——」 主人公が何を選び、どう終わったのか
「漁協の人々と過ごすうちに」 誰が、何のために主人公と対立していたのか
「感動の物語」 評価を作者が先に書いている。選考者が知りたいのは筋で、宣伝の言葉ではない

書く前に、応募する回の要項であらすじの指定を確かめる

あらすじの長さ、置き場所、結末の扱いは賞ごとに違います。書き始める前に、応募する回の要項から、あらすじに関する文をそのまま書き出しておきます。三つの賞の要項を並べると、指定の形がこれだけ違います。

要項 長さ・形式 置き場所 結末について
2027年集英社ノベル大賞 「800文字~2000文字程度」 原稿とあらすじを .docx か .txt のファイルで提出 要項に記載なし
第24回講談社ラノベ文庫新人賞 原稿の1ページ目(40文字×34行)に、タイトルと合わせて収める 原稿の1ページ目。このページは本文のページ数に含めない 「あらすじは物語の結末までを要約して書くようにしてください。」
第40回小説すばる新人賞 A4判1枚あたり40字×30行の縦書きで1枚 原稿とは別に、Word(.docx)でアップロード 要項に記載なし

字数で決める賞と、版面の1ページ・1枚に収めさせる賞があります。版面で決める場合は、字数だけで判断できません。40字×30行の1枚は最大1,200字分のマスですが、段落を分けると行末の余りと字下げの分だけ入る字数が減ります。講談社ラノベ文庫新人賞の1ページ目は、1行目がタイトルなので、あらすじに使えるのは2行目から34行目までです。

結末の記載がない要項をどう読むか

上の三つのうち、結末まで書くよう明記しているのは講談社ラノベ文庫新人賞だけです。ほかの二つの要項には、結末を書くかどうかの記載がありません。ただ、あらすじが本文と一緒に選考の資料として求められている以上、結末を伏せる理由は見当たりません。要項に指定がなければ結末まで書いておき、結末の扱いについて別の指定があればその指定に従う、という順で判断します。

この扱いを、すべての公募に共通する決まりだと考えないでください。賞によってはあらすじを求めない場合もありますし、「梗概」「作品概要」など別の名前で、別の内容を求めることもあります。判断できない書き方があれば、要項の問い合わせ先に確かめます。

注意応募マニュアルと要項が食い違うとき

集英社オレンジ文庫の「ノベル大賞 応募マニュアル」には、郵送で応募する場合に「必要事項」「あらすじ」「原稿本編」を順番に重ねて綴じる、という案内があります。一方、2027年集英社ノベル大賞の要項は郵送による応募を受け付けておらず、あらすじは .docx か .txt のファイルで出す形です。マニュアルにはあらすじの字数や書き方の説明はなく、対象の回も書かれていません。マニュアルやまとめ記事の説明と要項が違うときは、応募する回の要項を優先します。

要項から書き出すときは、次の四つを一行ずつ埋めると漏れません。

ひな形あらすじの指定メモ(要項から写す)

賞の名前と回:
あらすじの長さ(字数/版面の枚数・行数):
置き場所(別ファイル/原稿の1ページ目/応募フォームの欄):
ファイル形式・書式(縦書き・横書きの指定を含む):
結末についての記載(要項の文をそのまま):
要項で分からず、確かめたいこと:

完成原稿から、主人公・目的・障害・選択・結末を抜き出す

あらすじは、原稿を頭から縮めていくと失敗しやすい文章です。場面ごとに少しずつ削ると、序盤ばかりが詳しく、終盤が駆け足になります。先に、物語を支えている要素だけを抜き出してから文章にします。

例に使う架空の長編

『夜明けの製氷所』は、この記事のために作った架空の長編(約10万字の想定)です。完成原稿の場面を、起きた順に一覧にしたものから始めます。

場面 出来事
1 秋。東京の物流会社を辞めたばかりの三浦圭(32歳)は、父・修二が脳梗塞で倒れたと知り、東北の港町・千鳥浦に帰る
2 父は入院し、言葉が不自由になる。家業の製氷所は町で唯一、漁船に氷を卸しているが、何年も赤字だと分かる
3 圭は三か月で製氷所を売って町を出ると決める。札幌の水産加工会社が、製氷をやめて冷凍倉庫に建て替えることを条件に買い手になる
4 漁協の組合長・佐伯が、小さな船が氷を失うと反対する。圭は取り合わない
5 製氷機を動かせるのは、四十年勤める従業員の北島だけ。圭は引き継ぎのために機械の扱いを習い、毎朝四時に氷を積む仕事を覚える
6 圭は幼なじみの奈緒と再会する。奈緒の父も小型船の漁師で、氷を買っている
7 東京の元同僚から、再就職の誘いの電話が来る
8 十二月の嵐で停電。圭と北島は発電機をつないで夜通し製氷機を守る
9 翌朝、北島が父の帳簿を見せる。父は十年前から小型船にだけ原価を割る値段で氷を売っており、それが赤字の原因だった
10 圭は病院で父に帳簿のことを尋ねる。父は「好きにしろ」とだけ答える
11 契約の日、圭は署名しない。製氷所を漁協に貸して共同で運営する案を出すが、値段は原価に合わせて上げると条件を付ける。佐伯が値上げ分の一部を漁協で負担すると決め、案がまとまる
12 春、共同運営が始まる。圭は誘いを断り、一年は町に残ると決める。北島が引退した朝、圭は一人で製氷機を動かし、小型船に氷を積む

抜き出す要素と、作例の記入

場面の一覧から、次の要素を一行ずつ抜き出します。「転機」は、主人公の考えが変わるきっかけになる出来事です。

要素 問い 『夜明けの製氷所』の記入
主人公 誰が、どんな立場で始まるか 三浦圭、32歳。東京の仕事を辞めた直後で、家業を継ぐ気はない
発端 何が起きて話が動き出すか 父が倒れ、赤字の製氷所が圭の手に残る(場面1・2)
目的 主人公は何をしようとするか 製氷所を三か月で売り、町を出る(場面3)
障害 それを難しくするものは何か 買い手は製氷をやめる条件を付け、漁協の佐伯が反対する。機械は北島しか動かせない(場面3〜5)
転機 主人公の考えを変える出来事は何か 帳簿から、父が小型船に原価割れで氷を売っていたことが赤字の原因だと知る(場面9)
選択 主人公が自分で決めた行動は何か 署名せず、漁協との共同運営を提案する。ただし値段は原価に合わせて上げる(場面11)
結末 最後に主人公は何をし、何が変わったか 一年は町に残ると決め、一人で製氷機を動かして小型船に氷を積む(場面12)

主要人物は、名前を出す人と役割で呼ぶ人に分けておきます。この作品で名前が要るのは、圭・父・佐伯・北島の四人です。奈緒は本文では大切な人物ですが、筋の因果には関わらないので、あらすじでは出しません。名前の多いあらすじは、選考者が人物の関係を覚えるだけで手間がかかります。

練習自作の要素を抜き出す(20分)

  1. 原稿を開き、場面を起きた順に一行ずつ書き出します。長編なら章ごとでもかまいません。
  2. 一覧を見ながら、上の表の七つの要素を一行ずつ埋めます。結末の欄は「〜する」「〜と決める」のように、主人公の行動で書きます。
  3. 名前を出す人物を、主人公を含めて3〜4人に絞ります。残りは「漁協の組合長」のように役割で呼べるか確かめます。

転機や選択の欄が埋まらない場合、あらすじの書き方より前に、筋の因果が途切れている可能性があります。出来事のつながりを組み直したいときは小説のプロットの書き方を使えます。

出来事を「だから」「ところが」でつなぐ

要素がそろったら、文章にします。このとき避けたいのが、出来事を並べただけの要約です。どの出来事も書いてあるのに、なぜそうなったのかが分かりません。

出来事の羅列から、因果の通る要約へ

出来事を並べただけ

圭は港町に帰る。製氷所を売ることにする。漁協の佐伯が反対する。北島に機械の扱いを習う。嵐の夜に停電が起きる。北島が父の帳簿を見せる。圭は契約をやめる。

因果でつないだ要約

父が倒れたため、圭は港町に帰り、赤字の製氷所を売って町を出ようとする。ところが買い手は製氷をやめることを条件にしており、漁協の佐伯は小さな船が氷を失うと反対する。引き継ぎのために北島から機械を習ううち、圭は父の帳簿を見て、赤字の原因が小型船への原価割れの値段だったと知る。そのため圭は売買契約に署名せず、……

変更の理由

  • 修正前は、文と文の間に「なぜ」が一つも書かれていません。「契約をやめる」の理由が、直前の「帳簿を見せる」からは読み取れません。
  • 修正後は「ため」「ところが」「〜うち」「そのため」で、前の出来事が次の出来事の原因になっていることを示しました。
  • 接続の言葉を毎文入れる必要はありません。因果が文の中身で分かる箇所は、そのまま続けてかまいません。
  • 「嵐の夜の停電」は、修正後では削りました。圭と北島が近づく大事な場面ですが、契約をやめる理由には直接つながらないからです。

結末から逆にたどって、要る出来事を決める

どの出来事を残すか迷ったら、結末の一文を先に書き、そこから一つずつ「その原因は何か」とさかのぼります。

手順結末から逆にたどる手順

  1. 結末を一文で書きます。作例なら「圭は町に残ると決め、一人で製氷機を動かして小型船に氷を積む」。
  2. その直前の原因を一文で書きます。「圭は売却をやめ、漁協との共同運営に切り替えた」。
  3. さらにその原因を書きます。「帳簿を見て、赤字の原因が小型船への原価割れの値段だったと知った」。
  4. 発端に着くまで続けます。たどり着いた出来事の列が、あらすじの骨組みです。
  5. 骨組みに入らなかった出来事は、字数に余裕があるときだけ足す候補にします。

この方法で作った骨組みは、作例では次の一行になります。

父が倒れる → 製氷所を売ろうとする → 製氷をやめる条件と漁協の反対 → 帳簿で赤字の理由を知る → 署名しない → 原価で続ける共同運営 → 町に残る

文体は一つにそろえる

作例のあらすじは、「である」調で、出来事を現在形で書いています。起きた順に出来事を追いやすいからですが、決まりではありません。要項に指定がなければ、です・ます調でも過去形でもかまいません。大事なのは、途中で文体や時制が混ざらないことと、作品の雰囲気を出そうとして比喩や台詞を多く入れないことです。台詞を引くのは、転機や結末の理解に欠かせない一言に限ります。

短い版(349字)と長い版(821字)を作る

骨組みができたら、応募先の長さに合わせて書きます。ここでは、400字以内を想定した短い版と、800字以上を想定した長い版の二つを作りました。字数は句読点と括弧を含み、改行と空白を含めない数え方です。

作例短い版(349字)

東京の仕事を辞めた三浦圭は、父が倒れたため東北の港町・千鳥浦の実家に戻り、赤字続きの製氷所を三か月で売って町を出ようとする。買い手は製氷をやめることを条件にし、漁協の組合長・佐伯は、氷がなくなれば小さな船が漁を続けられなくなると反対するが、圭は取り合わない。引き継ぎのために従業員の北島から製氷機の扱いを習ううち、圭は父の帳簿を見て、父が十年前から小型船にだけ原価を割る値段で氷を売り続け、それが赤字の原因だったと知る。契約の日、圭は署名せず、製氷所を漁協に貸して共同で運営する案を出す。ただし氷の値段は原価に合わせて上げ、父のやり方は続けない。春、共同運営が始まり、圭は少なくとも一年は町に残ると決める。北島が引退した朝、圭は初めて一人で製氷機を動かし、その年最初の漁に出る小型船に氷を積み込む。

作例長い版(821字)

東京の物流会社を辞めたばかりの三浦圭(三十二歳)は、父・修二が脳梗塞で倒れたと知らされ、東北の港町・千鳥浦に帰る。父は一命を取りとめたが、言葉が不自由になり、家業の製氷所に戻れる見込みはない。製氷所は町で唯一、漁船に氷を卸しているが、帳簿は何年も赤字だった。継ぐ気のない圭は、三か月で製氷所を売って町を出ると決める。

買い手として名乗り出た札幌の水産加工会社は、製氷を年内でやめて冷凍倉庫に建て替えることを条件にする。それを知った漁協の組合長・佐伯は、氷がなくなれば小さな船は隣町まで氷を買いに行くしかなくなると反対する。圭は、父の代で終わった商売だと取り合わない。

売却までの間も製氷を止めることはできず、古い製氷機を動かせるのは四十年勤める従業員の北島だけだった。圭は引き継ぎのために北島から機械の扱いを習い、毎朝四時に氷を割って漁船に積む仕事を覚えていく。十二月の嵐の夜には停電が起き、二人は発電機をつないで夜通し製氷機を守る。

その翌朝、北島は圭に父の古い帳簿を見せる。父は十年前から、小型船にだけ原価を割る値段で氷を売り続けていた。赤字の原因は経営の失敗ではなかったのだ。帳簿の余白には「氷がなけりゃ、小さい船から先に海をやめる」という父の書き込みがあった。病院で帳簿のことを尋ねると、父は「好きにしろ」とだけ答える。

契約の日、圭は売買契約書に署名しない。水産加工会社との交渉を打ち切り、製氷所を漁協に貸して共同で運営する案を佐伯に持ちかける。ただし父のやり方は引き継がず、氷の値段は船の大きさにかかわらず原価に合わせて上げることを条件にする。小型船の船主たちは反発するが、佐伯が値上げ分の一部を漁協で負担すると決め、案はまとまる。

春、漁協との共同運営が始まる。圭は東京の元同僚から届いていた再就職の誘いを断り、少なくとも一年は町に残ると決める。北島が引退する朝、圭は初めて一人で製氷機を動かし、その年最初の漁に出る小型船に氷を積み込む。

長い版は6段落で、40字詰めで各段落の頭を1字下げると、おおよそ23行になります。40字×30行の1枚にも、ノベル大賞の「800文字~2000文字程度」にも収まる長さです。ただし800字の下限に近いので、ノベル大賞に出すなら、下の「長くできるときに足す順番」で少し足して余裕を持たせます。

短い版で削った情報と、残した因果

二つの版の違いを表にしました。短い版でも、骨組みの因果はすべて残しています。

情報 長い版 短い版 判断の理由
父の病名・病状、製氷所が町で唯一であること 残す 「倒れた」「赤字続き」だけ残す 帰郷と売却の理由が分かれば、筋は通る
買い手の所在地と冷凍倉庫への建て替え 残す 「製氷をやめる条件」だけ残す 対立の原因は「製氷がなくなること」で、買い手の事情ではない
嵐の夜の停電 残す 削る 圭と北島の関係を深める場面だが、署名をやめる理由に直接つながらない
帳簿の書き込みと、父の「好きにしろ」 残す 削る 転機の重みを伝える材料。帳簿の事実だけでも選択の理由は通る
船主の反発と、佐伯の負担の申し出 残す 削る 案がまとまる理由。短い版では「案を出す→共同運営が始まる」とつながるが、どう合意したかは分からなくなる
元同僚からの再就職の誘い 結末で一文 削る 町に残る決断の重さを補うが、なくても結末は伝わる
幼なじみの奈緒 削る 削る 本文では大切な人物だが、筋の因果に関わらない

削るときは、「この文を消したら、次の出来事の理由が分からなくなるか」で判断します。分からなくなる文は残し、分からなくならない文は削る候補です。逆に、短い版でも「ただし氷の値段は原価に合わせて上げ、父のやり方は続けない」の一文は残しました。主人公がただ父の跡を継いだのではなく、自分のやり方を選んだという変化は、この作品の結末の中心だからです。

長くできるときに足す順番

2,000字まで使える賞なら、短い版から次の順に足していくと、筋の太さを崩さずに長くできます。

  1. 転機の具体:何を見て、何が分かったか(帳簿の書き込み、父の返事)
  2. 対立がどう解けたか:選択のあと、障害だった人物がどう動いたか(佐伯の負担)
  3. 主人公の出発点:なぜその目的を持ったのか。作例なら、圭が東京で辞めた理由を一文足すと、売って町を出ようとする動機がはっきりする
  4. 中盤の段階:主人公が少しずつ変わっていく出来事(北島に習う日々、嵐の夜)

脇筋や、雰囲気を伝える描写は最後です。足しても因果の線が増えないなら、字数を使うほどの効果はありません。

提出前に、選考者の目で読み直す

書き終えたら、本文を読んでいない人のつもりで、あらすじだけを読み直します。家族や友人に読んでもらい、「最後に主人公はどうなったか」を答えてもらうのも確かめ方の一つです。

確認表応募用あらすじの確認表

  • 結末まで書いてあり、最後の一文で主人公が何をしたか分かる
  • 主人公の目的が、最初の段落(短い版なら最初の二文)で分かる
  • 転機と選択の間に、因果が書かれている(「なぜその選択をしたか」が読み取れる)
  • 名前を出した人物は、初めて出るところで主人公との関係が分かる
  • 造語や作中の用語は、説明なしでは分からないものを減らした
  • 「感動の」「衝撃の結末」など、評価や宣伝の言葉を書いていない
  • 「〜とは——」「果たして」など、結末を伏せる言い回しが残っていない
  • 本文と食い違う設定(年齢・季節・名前の表記)がない
  • 文体と時制が最後までそろっている
  • 要項の字数・版面に収まり、指定どおりの置き場所と形式になっている

字数を数えるときは、改行や空白を含めるかで結果が変わります。要項に「文字」とだけ書かれ、数え方の説明がない場合は、どちらで数えても範囲に入るように余裕を持たせておくと安心です。条件を切り替えて数えたいときは文字数・段落数カウンターを使えます。行数や1ページの文字数で指定されている賞では、提出するファイルと同じ書式で実際に配置して確かめます。Wordで文字数と行数を設定する手順はWordで小説原稿を整える方法にあります。

自分で直しても迷いが残るとき

確認表をすべて満たしても、「転機が弱く読めないか」「この長さで構成が伝わるか」が自分では判断できないことがあります。原稿とあらすじがそろっていて、聞きたいことが具体的に言える場合は、第三者の講評を受ける方法もあります。講評・添削・校正の違いと依頼先の選び方は小説の添削はどこに頼む?で比べています。依頼する前に、質問したい点を講評・添削の依頼メモで整理しておくと、返ってくる答えが具体的になります。