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俳句

俳句を投稿・投句する前の準備|募集要項と作品の確認点

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この記事の答え

投句の前には、句の点検と募集条件の点検を分けて行います。

  • 募集条件は、主催者が出しているその回の要項を、自分の確認表に書き写して読む(題・句数・未発表の範囲・二重投句・表記・送り方・締切・費用)。去年の要項やほかの大会の条件を当てはめない
  • 句は、読み・音数・季語・表記(仮名遣いの統一、難読語のふりがな)を一句ずつ確かめる
  • 選考に出す「投句」と、仲間と読み合う「句会」への持参は、準備も返ってくるものも違う。投句欄の選評は、送った全員への個別の添削ではない
目次

句ができて、新聞の投句欄や俳句大会に送ってみたい。けれど、要項のどこを読めばいいのか、何句まで送れるのか、ブログに載せた句は出せるのかが分からない。この記事では、句の点検と募集条件の点検を分け、架空の募集要項を自分の確認表に書き写す例と、送る句を一句ずつ確かめる投句準備表を作ります。読み終えたら、送り先の要項を転記し、句と必要事項をそろえて送れるようになります。

選考に出す「投句」と、読み合う「句会」を分ける

「投句」という言葉は、二つの場面で使われます。一つは、新聞・雑誌の投句欄や俳句大会に句を送り、選考を受けること。もう一つは、句会に句を出すことです。どちらも句を出す行為ですが、準備も、返ってくるものも違います。

出す先 何が起きるか 準備の中心
新聞・雑誌の投句欄 選者が選んだ句だけが掲載される。選評は入選句に付く 投稿案内の句数・締切・未発表の条件
俳句大会・公募 選考を経て入選・入賞が決まる。投句料がかかるものもある 要項の全項目。題、句数、費用、未発表、二重投句
句会 参加者が互いに選び、感想を言い合う 出す句数と当日の進め方。作品は仲間内で読まれる

この記事で扱うのは、上の二つ、選考に出す投句です。句会に初めて参加するときの準備や進め方は、句会とは?初めて参加する流れと選句・感想の伝え方で扱っています。

投句欄や大会の選評は、送った全員への個別の添削を約束するものではありません。大会によっては、別料金で講評付きの投句を受け付けるものもあります(第28回NHK全国俳句大会の要項では、講評付きの3句1組に、NHK学園俳句講座の講師の講評を返却するとしています)。自分の句への具体的な返答がほしい場合は、こうした条件を要項で確かめるか、投句とは別に方法を選びます(俳句の添削はどこに頼む?)。

募集要項を、自分の確認表に書き写す

要項は、主催者ごと、回ごとに違います。同じ大会でも、題や句数、費用、締切が毎回変わることがあります。そこで、送り先を決めたら、その回の要項を自分の確認表に書き写してから準備を始めます。書き写すと、読み飛ばしていた条件に気づきます。

架空の募集要項

ここでは、次の架空の募集要項を例に使います。実在の大会ではありません。

作例架空の募集要項:第12回 港町俳句まつり 投句募集

部門:自由題(2句1組)/兼題「時雨」(1句。題の語を句に詠み込むこと)
応募数:1人2組まで
条件:未発表の自作に限る。新聞・雑誌・句会報・ブログ・SNSに載せた句は不可。ほかの大会と同時に応募した句も不可
表記:一句を一行に、楷書で書く。難読の語にはふりがなを付ける。旧仮名・新仮名は問わないが、一句の中で統一する
書く事項:住所、氏名(ふりがな)、俳号を使う場合は俳号(ふりがな)、年齢、電話番号
投句料:1組1,000円(郵便小為替を同封)
送り方:郵便はがき1枚に1組を書いて郵送
締切:12月10日(当日消印有効)
発表:翌年2月、入選作品集と主催者のホームページで発表。作品は返却しない
作品の扱い:著作権は作者に属し、主催者は入選作を作品集等に掲載できる

転記の見本

この要項を、次の形に書き写します。空欄のまま残る項目は、要項に書かれていない点です。そこは推測で埋めず、主催者に問い合わせるか、「記載なし」と書いておきます。

ひな形投句先の要項の転記表

送り先(主催・回):第12回 港町俳句まつり(架空)
要項を見た場所:主催者のホームページの募集案内(見た日も書く)
締切:12月10日 当日消印有効(必着か消印か送信時刻かを書き分ける)
送り方:郵便はがき1枚に1組
題:自由題2句1組/兼題「時雨」1句(題の語を詠み込む)
句数・組数:1人2組まで
未発表の範囲:新聞・雑誌・句会報・ブログ・SNSに載せた句は不可
二重投句:ほかの大会への同時応募は不可
表記の指定:一句一行・楷書/難読語にふりがな/仮名遣いは一句の中で統一
書く事項:住所・氏名(ふりがな)・俳号(ふりがな)・年齢・電話番号
費用:1組1,000円 郵便小為替
結果の発表:翌年2月 作品集とホームページ
作品の返却・訂正:返却しない/投句後の訂正は記載なし
作品の扱い:著作権は作者、主催者は入選作を掲載できる
分からない点:兼題を傍題(小夜時雨など)で詠んでもよいか → 記載なし

実在の要項を転記すると

実在の要項も、同じ表に書き写せます。条件の違いが分かるように、性格の違う二つを並べます。どちらも、主催者のページで確かめた内容です。条件は回ごと・時期ごとに変わるので、送る前に必ずその時点の案内を読み直してください。

確かめる項目 熊日「読者文芸」(俳句) 第28回NHK全国俳句大会(自由題・題詠部門)
送り方 郵送(はがき) ウェブの投稿フォーム(NHK学園のオンライン教室で使うサービスへの無料登録が必要)、または専用の投稿用紙で郵送
句数 はがき1枚に3句以内。各選者へ1人月1枚 自由題2句1組、または自由題2句+題詠1句の3句1組。複数組の応募ができる
題 案内に題の指定の記載なし 題詠は「間」。句に「間」の字を入れる。題詠だけの応募は不可
締切 毎月10日必着 2026年11月16日(ウェブは23時59分、郵送は必着)
未発表 未発表作品に限る 未発表の自作に限る。雑誌・新聞・ブログ・SNSなどでの発表を含み、句会で発表した句も未発表と認められない場合がある
重複 同じ作品を別の選者に送れない 同じ時期に同じ作品をほかへ出す二重投句は不可
費用 案内に投稿料の記載なし(はがき代) 投句料あり。2句1組2,500円、3句1組3,500円、講評付き3句1組5,500円(税込)など
書く事項 希望する選者名、住所、氏名、年齢、電話番号 投稿用紙・フォームの指定に従う
返却・訂正 案内に記載なし 作品は返却しない。投句後の訂正はできず、選考に関する問い合わせにも答えない

熊日の読者文芸は毎月送れて投稿料の記載もない一方、NHK全国俳句大会は年に一度で投句料がかかり、未発表の範囲も細かく決められています。「俳句の投稿」とひとまとめにせず、送り先ごとに条件を読む理由がここにあります。

小説の公募を例に、応募要項全体の読み方を順に確かめる方法は応募要項の読み方で扱っています。俳句でも、締切の種類や書式の読み方の考え方は同じです。

自由題か兼題かを確かめる

募集の「題」には、大きく分けて次の形があります。

題の形 意味 確かめること
自由題(雑詠) 題の指定がなく、自由に詠む 季節の指定がないか。「当季雑詠」(その季節の句)と指定されることもある
兼題(題詠) 前もって出された題で詠む。題は季語のことも、字や言葉のこともある 題の語をそのまま入れるのか、字を含めばよいのか。季語の題なら傍題でもよいか
席題 句会の当日、その場で出される題 投句ではなく句会で出会う形。句会の記事を参照

兼題は、主催者によって求め方が違います。たとえば第28回NHK全国俳句大会の題詠は「間」で、句の中に「間」の字を入れることが条件です。季語が兼題の場合は、その季語を詠み込むよう求める要項がありますが、似た季語(傍題)でもよいかまでは書かれていないこともあります。架空要項の兼題「時雨」なら、「小夜時雨」「村時雨」で詠んでよいかが分からなければ、本題の「時雨」で詠むのが安全です。

兼題の季語は、季節も確かめます。「時雨」は冬の季語です(デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典)。秋の終わりの雨のつもりで詠むと、季語の季節と句の景がずれることがあります。

未発表・二重投句・句数を確かめる

未発表の範囲は、要項ごとに違う

「未発表」が何を指すかは、要項によって大きく違います。上の二つの実例でも、熊日の案内は「未発表作品に限ります」と書くだけですが、NHK全国俳句大会はブログやSNS、句会での発表まで範囲に含める場合があると明記しています。

自分の句について、次のことを確かめます。

  • その句を、新聞・雑誌・結社誌・句会報に載せたことがあるか
  • ブログやSNSに投稿したことがあるか(鍵付きのアカウントや、あとで消した投稿も含めて)
  • 句会に出したことがあるか
  • ほかの大会に応募して、結果待ちになっていないか

要項に書かれた範囲に一つでも当てはまれば、その句は出せません。範囲がはっきり書かれていない場合は、主催者に問い合わせるか、確実に一度も外に出していない句を選びます。どこからが「発表」にあたるかの考え方は、小説の公募を例に公募の「未発表」とは?で整理しています。

二重投句を防ぐために、送った記録を残す

同じ句を、同じ時期に二つ以上の送り先へ出すことを二重投句といいます。上の二つの実例でも、同じ作品を複数の選者や送り先に出すことは認められていません。入選したあとで条件違反が分かれば、入選の取り消しなどにつながるおそれがあります。

二重投句は、うっかり起こります。送った句と送り先、結果の出る時期を一覧にしておくと防げます。

句(冒頭の五音) 送り先 送った日 結果が出る時期・結果
着ぶくれて… 港町俳句まつり(架空) 12月3日 翌年2月
寒卵… 港町俳句まつり(架空) 12月3日 翌年2月
時雨来て… 港町俳句まつり(架空) 12月3日 翌年2月

結果が出るまでは、その句をほかへ出さず、SNSにも載せないでおきます。落選が分かったあとに別の送り先へ出せるかどうかは、次の送り先の要項で決まります。同時応募と結果待ちの考え方は、小説の公募を例に二重投稿とは?で扱っています。

句数は「1組の句数」と「組数」を分けて読む

句数の決め方も、要項ごとに違います。熊日は「はがき1枚に3句以内」、NHK全国俳句大会は「2句1組か3句1組で、複数組可」、架空要項は「2句1組を1人2組まで」です。1組に何句かと、何組まで出せるかを分けて書き写しておくと、数え違いを防げます。

送る句を一句ずつ点検する

条件がそろったら、次は句そのものを点検します。架空要項に出す3句を、投句準備表にまとめた例です。

作例・俳句自由題① 着ぶくれて

着ぶくれて回送バスを見送りぬ
句よみ音数
着ぶくれてきぶくれて5音
回送バスをかいそうばすを7音
見送りぬみおくりぬ5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句自由題② 寒卵

寒卵割ってふたつの黄身ならぶ
句よみ音数
寒卵かんたまご5音
割ってふたつのわってふたつの7音
黄身ならぶきみならぶ5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句兼題「時雨」 時雨来て

時雨来て暖簾を下ろす豆腐店
句よみ音数
時雨来てしぐれきて5音
暖簾を下ろすのれんをおろす7音
豆腐店とうふてん5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

句 季語・季節 表記で確かめたこと 条件との照合
着ぶくれて 回送バスを 見送りぬ 着ぶくれ(冬) 「見送りぬ」は文語だが、新仮名・旧仮名で書き方が変わらない。「回送」はふりがな不要と判断 未発表・ほかに応募なし
寒卵 割ってふたつの 黄身ならぶ 寒卵(冬) 新仮名。「割って」の促音を確認 未発表・ほかに応募なし
時雨来て 暖簾を下ろす 豆腐店 時雨(冬)=兼題の語を詠み込んだ 「暖簾」に「のれん」とふりがな。「来て」は「きて」と読む 兼題の語を含む。未発表

季語の季節は「着膨れ」「寒卵」「時雨」とも、デジタル大辞泉で冬とされています。架空要項の自由題には季節の指定がないので、冬の句でなくてもかまいません。この例では、締切の時期に合わせて冬の句をそろえました。

表記では、次の点を確かめます。

  • 仮名遣い:新仮名(現代仮名遣い)か旧仮名(歴史的仮名遣い)か。架空要項のように「一句の中で統一」と決めている場合は、「見送りぬ」のような文語の言い回しを使うときも、仮名遣いは混ぜない
  • 難読語のふりがな:付けてよいか、付けるならどう書くか(はがきなら漢字の横に小さく、ウェブのフォームなら括弧書きなど)は、要項の指定に従う
  • 一句の書き方:一行に続けて書くか、五・七・五の間を空けるか。指定がなければ、一行に続けて書くと区切りの位置を読み違えられにくくなります
  • 字の読みやすさ:手書きなら、楷書ではっきり。「ぬ」と「め」、「ろ」と「る」のように、読み違えやすい字に気をつける

句の中身に迷いがある場合は、送る前に俳句の推敲のやり方で見直しておきます。

連絡先と必要事項をそろえる

句がそろったら、要項の「書く事項」を一つずつ書きます。はがきで送る場合の記入例です。

ひな形はがきの裏面の記入例(架空の要項に合わせた例)

第12回 港町俳句まつり 自由題・兼題

【自由題】
着ぶくれて回送バスを見送りぬ
寒卵割ってふたつの黄身ならぶ

【兼題「時雨」】
時雨来て暖簾(のれん)を下ろす豆腐店

〒000-0000
(住所)
氏名:港野 葉子(みなとの ようこ)
俳号:港葉(こうよう)
年齢:52歳
電話:000-0000-0000

この記入例では「暖簾」のふりがなを括弧で書きましたが、ふりがなの書き方は送り先の指定に従います。

必要事項で間違えやすいのは、次の点です。

  • 俳号と本名:俳号で載せてほしい場合でも、本名の記入を求める要項があります。両方を書く欄があるか、どちらで掲載されるかを確かめます
  • ふりがな:氏名・俳号の読みを求められることがあります。入選したときの読み上げや掲載に使われます
  • 選者の指定:新聞の投句欄では、複数の選者から一人を選んで書く形があります(熊日の案内では「希望する選者名」が記入事項)
  • 投句料の記録:振込や小為替の控え、払込日を書く欄がある場合は忘れずに

送る前に、最後の確認をする

最後に、要項の転記表と投句準備表を並べて、次の確認表で点検します。主催者によって求める内容が違うので、送り先の要項にない項目は飛ばし、要項にあってここにない項目は書き足して使ってください。

確認表投句を送る前の確認表

  • 送り先の、その回の要項を読んだ(去年の要項やほかの大会の条件で判断していない)
  • 締切が必着・消印有効・送信時刻のどれかを確かめ、余裕をもって送れる
  • 題(自由題・兼題)の条件に合っている。兼題の語や字を句に入れた
  • 1組の句数と、組数の上限を守っている
  • どの句も、要項の「未発表」の範囲(雑誌・ブログ・SNS・句会など)に当てはまらない
  • どの句も、ほかの送り先に出して結果待ちになっていない
  • 句の読み・音数・季語の季節を確かめた
  • 仮名遣いが一句の中でそろっている。難読語のふりがなは要項の指定どおり
  • 住所・氏名・ふりがな・俳号・年齢・電話番号など、要項の書く事項をすべて書いた
  • 投句料が必要な場合、払い込み、控えを残した
  • ウェブで送る場合、入力した句を送信前の画面で読み直し、送信後の確認画面や受付メールを保存した
  • 送った句・送り先・日付・結果の時期を、自分の記録に書いた

送ったあとは、訂正できない場合があります(NHK全国俳句大会の要項では、投句後の訂正は受け付けないとしています)。確認は送る前に済ませます。

入選は、どれだけ準備しても約束されるものではありません。結果が出たら、入選句と選評を読んで、選ばれた句の詠み方から次の句の手がかりを探します。