本文へ移動
俳句

句会とは?初めて参加する流れと選句・感想の伝え方

PRこの記事には広告リンクを含みます。広告と紹介の基準

この記事の答え

句会は、句を持ち寄って互いに選び(互選)、どう読んだかを伝え合う集まりです。点数や直し方をもらう場というより、自分の句がどう読まれたかを知り、人の句を読む力を育てる場です。

  • 進め方は会ごとに違う。出句数、作者名を伏せるか、選ぶ句数、指導者の講評や添削があるかを、参加前に主催者に確かめる
  • 選句の理由は「何が見えたか」と「どの言葉がそう読ませたか」で伝える
  • 合評では「こう直すべき」より「私はこう読んだ」を伝える。添削をする句会かどうかも、会の決まりに従う
目次

初めて句会に誘われたけれど、何句持っていけばいいのか、選句のときに何を言えばいいのか分からない。この記事では、架空の小さな句会を例に、句を出してから感想を言い合うまでの流れを一つずつ追い、持っていく句の準備、選んだ理由の言い方、感想と添削の分け方を文例で示します。句会の進め方は会ごとに違うので、各段階で「主催者に確かめること」も添えます。

句会は、句を持ち寄って選び合い、読み合う場

句会は、デジタル大辞泉の説明では「俳句を作り、批評しあう集まり」です。参加者が句を持ち寄り、互いに良いと思う句を選び(互選)、なぜ選んだか、どう読んだかを言い合います。

初めての人が知っておきたいのは、句会の中心が「読む」ことだという点です。自分の句に点が入るかどうかより、自分の句が人にどう読まれたか、人の句から何を受け取ったかが、句会で得られるものです。全句に丁寧な添削が返ってくる場ではありません。

句会には、いくつかの形があります。参加する前に、どの形の会かを知っておくと戸惑いません。

違いが出るところ 形の例
集まり方 対面で集まる/メールやフォームで句と選を送り合う/ビデオ会議でつなぐ/郵送でやりとりする
題 前もって出される兼題/当日その場で出される席題/その季節の句を自由に出す当季雑詠
作者名の扱い 名前を伏せて出し、選んだあとに名乗る/少人数の会では名前付きで出すこともある
選ぶ人 参加者の互選だけ/互選に加えて主宰や講師も選び、講評する
指導 合評だけ/指導者が添削や講評をする

結社(主宰を中心に俳句を学び合う団体)の句会、カルチャー講座の句会、仲間内の句会、自治体の催しとして開かれる初心者向けの句会など、主催者もさまざまです。この記事の流れは一つの例で、すべての句会に共通する作法ではありません。

架空の句会で、出句から合評までの流れを見る

ここでは、次のような架空の句会を例にします。

作例架空の句会の案内:秋の小さな句会

参加者:8人(主宰なし、互選のみ)
場所:公民館の和室(対面)
題:兼題「柿」1句、当季雑詠1句、計2句を当日持参
出し方:配られた短冊に1句ずつ、名前を書かずに書く
選句:自分の句以外から、特選1句・並選3句
会費:部屋代を人数で割る

この会の当日の進め方と、どの段階で何を主催者に確かめるとよいかを表にします。

段階 この句会での進め方(例) 主催者に確かめること
出句 短冊に1句ずつ名前を書かずに書き、2枚を箱に入れる 出句数と内訳、事前投句か当日持参か、短冊は配られるか
清記 短冊を混ぜて全員に配り、各自が自分以外の句を清記用紙に書き写す。用紙ごとに番号を振る 清記をするか。名前付きで出す会もある
選句 清記用紙を順に回し、選句用紙に特選1句・並選3句を書く 選ぶ句数、特選があるか、自分の句を選ばない決まり
披講 係が、各人の選んだ句を読み上げる。自分の句が読まれたら、その場で名乗る 名乗りの仕方(その都度か、最後にまとめてか)
合評 点の多い句から、選んだ人が理由を話す。最後に作者が一言 合評の時間、指導者の講評や添削があるか

清記は、短冊の句を別の人が書き写す作業です。字の癖から作者が分からないようにし、句そのものだけで選べるようにする工夫と説明されます。披講は、詩歌の会で作品を読み上げることで(デジタル大辞泉)、句会では選ばれた句を読み上げる場面を指します。

注意進め方は会ごとに違う

点を数えて順位を出す会もあれば、点数を出さない会もあります。主宰が最後に選と講評をする会では、互選より主宰の講評が中心になることもあります。初参加なら、当日の流れを事前に聞いておくか、最初の一回は周りの人の動きに合わせるつもりで参加すると安心です。

持っていく句と、参加前の準備

出句数より少し多めに用意する

案内に「兼題1句、当季雑詠1句」とあれば、出すのは2句です。ただ、当日ほかの人の句を見て出す句を替えたくなることもあるので、それぞれ2、3句ずつ候補を用意しておくと安心です。候補を選ぶときは、季語の季節を歳時記で確かめ、音数を数えておきます。句の見直し方は俳句の推敲のやり方で扱っています。

兼題が季語の場合は、その季語が句に入っているかを確かめます。例の兼題「柿」は、デジタル大辞泉では実が秋、花が夏の季語とされています。柿の実を詠めば秋の句になります。

句会に出した句は、あとで投句に使えないことがある

句会に出した句を、あとで俳句大会や新聞の投句欄に出したいと考える人もいるでしょう。その場合は、送り先の「未発表」の範囲に注意します。たとえば第28回NHK全国俳句大会の要項では、句会で発表した句も未発表と認められない場合があるとしています。句会報やウェブ上の記録に残る場合はなおさらです。投句を考えている句があれば、句会に出す前に送り先の要項を確かめます(俳句を投稿・投句する前の準備)。

確認表初めての句会の前に主催者に確かめること

  • 出句数と内訳(兼題・席題・当季雑詠のそれぞれ何句か)
  • 兼題の題と、事前に送るのか当日持参するのか
  • 作者名を伏せて出すのか、名前付きで出すのか
  • 選ぶ句数(特選・並選など)と、自分の句を選ばない決まり
  • 主宰や講師の選・講評・添削があるか
  • 会費、持ち物(筆記用具、歳時記、短冊や用紙が配られるか)
  • 開始・終了の時刻、途中参加や途中退出ができるか
  • オンラインの場合、使う道具(メール・フォーム・ビデオ会議)と、出句・選句の締切時刻
  • 句会報や記録をどこまで公開するか(あとで投句に使いたい句がある場合)

選句の理由を言葉にする

句会で一番緊張するのは、選んだ句について理由を話す場面かもしれません。ここでは、架空の句会の清記用紙から五句を抜き出し、選句と感想の文例を作ります。どれもこの記事のために作った句です。三番が、あなたが出した句だとします。

作例・俳句清記1

柿ひとつ残して脚立片づける
句よみ音数
柿ひとつかきひとつ5音
残して脚立のこしてきゃたつ7音
片づけるかたづける5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句清記2

柿の種皿の端へと寄せる癖
句よみ音数
柿の種かきのたね5音
皿の端へとさらのはしへと7音
寄せる癖よせるくせ5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句清記3(自分の句)

新蕎麦の湯気に眼鏡を外しけり
句よみ音数
新蕎麦のしんそばの5音
湯気に眼鏡をゆげにめがねを7音
外しけりはずしけり5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句清記4

秋の蚊のふらりと来たる譜面台
句よみ音数
秋の蚊のあきのかの5音
ふらりと来たるふらりときたる7音
譜面台ふめんだい5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

作例・俳句清記5

どんぐりを数えて眠る子の拳
句よみ音数
どんぐりをどんぐりを5音
数えて眠るかぞえてねむる7音
子の拳このこぶし5音

合計17音(5・7・5)/俳句の基準どおり

※季語:柿(実は秋)、新蕎麦(秋)、秋の蚊(秋)、団栗(秋)。

選ぶ基準は「上手そう」より「見えたもの」

選句で迷ったら、「うまい句」を探すより、読んでいて景がはっきり見えた句、言葉に驚いた句を選びます。初心者が「自分には句の良し悪しが分からない」と感じるのは自然なことです。けれど、句会で求められているのは採点ではなく、自分の読みです。自分に何が見えたかなら、誰でも言えます。

自分の句(例では三番)は選ばないのが、この架空の句会の決まりです。ほかの句会でも同じ決まりを置くことがありますが、初めての会では念のため確かめておきます。

選句コメントの文例

理由は、「何が見えたか」+「どの言葉がそう読ませたか」の二つで組み立てると、短くても具体的になります。

作例特選:清記1「柿ひとつ残して脚立片づける」

脚立を片づける、という終わったあとの動作で、柿をもぎ終えた夕方が見えました。一つだけ残した理由が書かれていないので、鳥のためか、来年のためか、読む人が思いを広げられます。「残して」と「片づける」の間に、少し手を止めたような間を感じました。

作例並選:清記4「秋の蚊のふらりと来たる譜面台」

練習中の譜面台に、弱った蚊がとまる景として読みました。「ふらりと」で、夏の蚊のような勢いがもうないことが伝わります。楽器の音と、かすかな羽音が同じ部屋にあるのがおもしろいと思いました。

作例並選:清記2「柿の種皿の端へと寄せる癖」(読みが割れそうな句)

柿を食べたあとの種を、皿の端に寄せる人の手つきとして読みました。「癖」とあるので、家族の誰かを長く見てきた目を感じます。ただ、お菓子の柿の種とも読めるので、ほかの方がどう読んだかも聞いてみたいです。

三つ目のように、自分の読みに迷いがあるときは、それをそのまま言ってかまいません。読みが割れること自体が、作者にとっては「その言葉がどう受け取られるか」を知る大事な材料になります。

言いがちな感想を、具体的な言い方に変える

言いがちな感想 足りないもの 具体的な言い方の例
いい句だと思いました 何がよいか 脚立を片づける動作で、収穫が終わった夕方が見えました
情景が浮かびます どんな情景か 譜面台にとまった蚊の、細い脚まで見えました
季語が効いています どう効いているか 新蕎麦の湯気で眼鏡が曇る、この季節だけの一瞬だと思いました
よく分かりませんでした どこで止まったか 「柿の種」を果物の種とお菓子のどちらで読むか迷いました

「よく分かりませんでした」も、どこで止まったかを言えば、作者には役に立つ感想になります。

感想と添削を分けて伝える

合評で気をつけたいのは、感想のつもりで添削をしてしまうことです。「ここをこう直すといい」という言い方は、作者の言葉を自分の言葉に置き換えてしまいます。同じ気がかりでも、自分がどう読んだかとして伝えると、作者が受け取りやすくなります。

清記2への気がかりの伝え方

添削になっている言い方

「寄せる癖」は説明的なので、「寄せてをり」に直したほうがいいと思います。

読みとして伝える言い方

私は「癖」のところで、少し説明を聞いた気がしました。皿の端に種が寄っている景だけでも、その人の癖は伝わるかもしれない、と感じました。ただ、「癖」で人物がはっきりした、と読む方もいると思います。

変更の理由

  • 直した言い方は、作者がその直し方を採るか採らないかの二択になってしまいます。読みとして伝えると、作者は「ここで説明を感じた人がいる」という情報を得て、自分で直し方を考えられます。
  • 改作案を出すのは主宰や講師の役目、としている句会もあれば、参加者どうしで改作案を出し合う句会もあります。その会の流れに合わせます。
  • 気がかりを言うときは、よかった点と一緒に、自分の読みの一つとして伝えます。

自分の句が話題になったとき

作者名を伏せる句会では、名乗るまでは自分の句だと分からないことになっています。自分の句が合評されている間は、説明したくなっても黙って聞き、どう読まれたかをメモします。名乗ったあと、意図を聞かれたら短く答えます。「本当はこういう意味で」と長く説明すると、まだ話していない人が自分の読みを言いにくくなります。

もらった感想は、その場で全部採り入れる必要はありません。帰ってから、自分が詠みたかった景に照らして、採る・保留する・採らないを決めます。感想の採否の考え方は、小説の例ですがもらった感想を改稿に生かす方法が参考になります。

オンラインの句会と対面の句会で確かめること

オンラインの句会は、遠方の人とも参加でき、時間の都合もつけやすい形です。ただ、出句や選句の送り方、名乗りの方法などが対面とは違います。

確かめること 対面の句会 オンラインの句会
出句の方法 当日に短冊へ書いて出す、または事前に送る メールやフォームで、締切までに送る
清記 参加者が分担して書き写すことがある 幹事がまとめて一覧にして配ることがある
選句の出し方 選句用紙に書いて出す フォームやメールで送る。締切の日時を確かめる
披講・名乗り 読み上げに対して声で名乗る ビデオ会議で名乗る、一覧に作者名が後から付く、など会ごとに違う
合評 その場で話す ビデオ会議で話す、または掲示板やメールにコメントを書く
記録の残り方 句会報を配る、結社誌に載る 一覧やコメントがウェブ上に残ることがある

オンラインで気をつけたいのは、締切の時刻と記録の公開範囲です。メールやフォームで送る句会では、締切の日時を過ぎると出句や選句が受け付けられないことがあります。また、句や合評のやりとりが誰でも見られる場所に残る場合は、あとで投句に使いたい句の扱いに影響することがあります。参加者限定の場所なのか、公開の場所なのかを確かめておきます。

ビデオ会議の場合は、使うアプリ、カメラや音声の有無、画面共有で清記を見せるのかどうかも、事前に聞いておくと当日慌てません。

句会のあとに、次の一句へつなげる

句会から帰ったら、自分の句に寄せられた読みと、選んだ句・選ばれた句を書き留めておきます。点が入らなかった句も、どこで読みが止まったかが分かれば、推敲の手がかりになります。

句会の互選と合評は、参加者どうしの読み合いです。選ばれなかった句の一つひとつに、個別の添削が返ってくるわけではありません。