エッセイに家族や知人を書くときの確認|特定・同意・公開範囲を整理する
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この記事の答え
家族や知人を書いたエッセイは、名前を変えるだけでは、本人や周りの人に誰のことか分かることがあります。公開前に、次の四つを整理します。
- 特定につながる情報:名前のほか、職業・時期・地域・家庭の事情の組み合わせで分からないか
- 事実と解釈:自分が見たこと、人から聞いた話、自分の解釈を分け、解釈を事実のように書いていないか
- 本人への相談:登場してよいか、どの出来事か、呼び方、公開先、後から消せるかを、文面で具体的に聞く
- 公開範囲:誰が読めて、後から取り消せるかを公開先ごとに確かめ、範囲が変わるときはもう一度相談する
目次
家族や友人、職場の人の出来事は、エッセイのいちばん身近な題材です。けれど、書き上げてから「これを公開して、本人は困らないだろうか」と手が止まることがあります。この記事では、架空の家庭のエピソードを使い、公開する前に、誰のことか分かる情報、事実と解釈、本人に相談すること、公開範囲を順に整理します。作例の家族と出来事は、この記事のために作った架空のものです。
注意この記事で扱う範囲
ここで整理するのは、書き手が公開前に行う編集上の確認です。書いた内容が法律上問題になるかどうかは、出来事、書き方、公開の方法などの個別の事情によって変わるため、この記事では判断しません。名前を変えた、事実を書いた、という理由だけで問題がないとは言えないことを前提に読んでください。相手と争いになっている場合や、法律上の判断が必要な場合は、最後の節で挙げる窓口に相談してください。
題材を選ぶ段階での簡単な確認は、エッセイのネタがないときの探し方にまとめています。この記事は、一篇を書き上げて公開を考えている段階の確認です。
名前を変えても、誰のことか分かる理由
名前を伏せたり変えたりしても、誰のことか分かってしまうのは、文章の中に名前以外の手がかりが残っているからです。一つひとつは小さな情報でも、重なると人が絞り込まれます。
法律の世界にも、同じ考え方があります。個人情報保護委員会のガイドラインは、個人情報の定義として、氏名や生年月日などの記述で特定の個人を識別できるもののほか、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるもの」を含むと説明しています(個人情報保護法ガイドライン(通則編))。このガイドラインは事業者などに向けたもので、個人がエッセイを公開する場面にこの法律がどう関わるかを、この記事では判断しません。ここでは、名前がなくても、組み合わせで人が分かるという考え方の参考として挙げています。
誰のことか分かるかどうかは、読む人によっても違います。
| 読む人 | 何で分かるか |
|---|---|
| 書かれた本人 | ほぼ必ず分かる。名前や場所を変えても、出来事そのものを覚えている |
| 家族・親戚 | 書き手が誰かを知っていれば、「姉」「父」だけで分かる |
| 近所の人、同僚、同級生 | 職業・地域・時期・出来事の組み合わせで分かることがある |
| 書き手を知らない読者 | 多くの場合は分からない。ただし、作者名やプロフィールから書き手がたどれると、家族もたどれる |
名前を変えて防げるのは、主に表の一番下の読者に対してです。本人と、本人の周りの人に読まれることを前提に確認を進めます。
作例:家族を書いた初稿の一部
架空の書き手が、離婚した姉が子どもを連れて実家に戻ってきた冬のことを書いたエッセイの一部です。作例では、実在の路線名や店名の代わりに[ ]で示しています。
作例作例:初稿の一部(架空の書き手・約280字)
二〇二四年の一月、姉の由美が、小学五年の健太を連れて実家に帰ってきた。市立図書館で司書をしている姉は、離婚の手続きが済むまでの三か月、[路線名]の終点の駅から職場に通った。元夫には、姉にも言っていない借金があったらしい。
姉が持ってきたのは、段ボール三箱だけだった。母は膝の手術を控えていたが、毎朝四人分の味噌汁を作った。健太は転校先の学校になじめず、二月はほとんど休んでいた。
姉は一度も泣かなかった。強がっていたのだと思う。毎朝、駅前のパン屋[店名]でクリームパンを一つだけ買ってきて、健太の皿に置く。それがその冬の、姉のいちばん決まった仕事だった。
書き手が残したいのは、最後の段落の「毎朝のクリームパン」です。その周りに、姉や甥、母、元夫についての情報が多く入っています。
特定につながる情報を、組み合わせで点検する
初稿から、人を特定する手がかりになる情報を抜き出し、一つずつ扱いを決めます。
| 情報 | 初稿の書き方 | 単独で分かるか・組み合わせると | 扱いの案 |
|---|---|---|---|
| 名前 | 姉の由美、甥の健太 | 家族・知人には名前だけで分かる | 「姉」「姉の息子」とする |
| 職業・職場 | 市立図書館の司書 | 職業と市の組み合わせで、同僚や利用者に分かる | 一篇に必要ないので削る |
| 地域 | [路線名]の終点の駅、駅前のパン屋[店名] | 店名で町が分かる。町が分かれば、職場と合わせて人が絞れる | 路線名と店名を外し、「駅前のパン屋」とする |
| 時期 | 二〇二四年の一月、三か月 | 年と離婚の組み合わせで、知人には誰のことか分かりやすい | 「数年前の冬」とする |
| 家庭の事情 | 離婚、元夫の借金 | 本人にとって人に知られたくない可能性が高い。元夫は相談できない第三者 | 離婚は本人と相談。借金は削る |
| 子どもの事情 | 小学五年、転校、学校を休んだ | 未成年で、学年と時期から学校の関係者に分かり得る | 削る |
| 健康 | 母の膝の手術 | 病気やけがは、本人が知られたくない情報になりやすい | 母に確認する |
| 書き手の情報 | (本文の外)本名で公開、プロフィールに出身地 | 書き手が分かれば、「姉」が誰かもたどれる | 作者名とプロフィールを見直す |
表を作ると分かるのは、一つの情報を伏せても、残りの組み合わせで分かるということです。たとえば名前を変えても、「市立図書館の司書」「二〇二四年」「離婚」が残っていれば、その町の人にはかなり絞り込めます。点検するときは、一行ずつではなく、残した情報を全部並べて「この組み合わせで、あの人だと分かる人はいるか」と考えます。
もう一つ、本文の外にある情報も見落とせません。作者名が本名だったり、プロフィールに出身地や家族構成が書いてあったりすると、本文の情報をいくら減らしても、書き手から家族がたどれます。
場所や時期を変えることの限界
特定を防ぐために、地名や時期、職業を別のものに変える方法もあります。ただ、変えることには限界があります。
| 変え方 | 防げること | 防げないこと・新しく起きること |
|---|---|---|
| 地名を別の町にする | 知らない読者が場所を特定すること | 本人と家族は出来事で分かる。別の町に、条件の合う実在の人がいると、その人のことだと誤解されることがある |
| 時期をずらす | 年と出来事の照合 | 季節や行事がからむ出来事は、ずらすと話のつじつまが合わなくなる |
| 職業を別のものにする | 職場からの特定 | 変えた職業の描写が不自然になる。職業が出来事に関わる話では、話の中身が変わる |
| 出来事の一部を作りかえる | 出来事からの特定 | エッセイとして読まれる文章に、事実でないことが入る |
名前や場所を変えても、本人にはほぼ必ず分かります。変えることで減らせるのは、知らない人に特定される可能性です。本人がどう受け止めるかという問題は残ります。
また、作りかえを重ねると、事実を書いたエッセイなのか、体験をもとにした創作なのかが、読者に分からなくなります。大きく変える場合は、創作として発表する、前書きで一部を変えていると断る、といった形で、読者がどちらとして読めばよいか分かるようにしておきます。どちらにしても、作りかえたから公開してよい、ということにはなりません。
書いた内容を、見た事実・聞いた話・解釈に分ける
家族を書くとき、書き手が確かに見たことと、人から聞いた話、書き手の解釈が、同じ調子で並びがちです。公開前に分けておくと、どこを本人に確かめるべきかが見えてきます。
| 初稿の文 | 種類 | 公開前の扱い |
|---|---|---|
| 姉が持ってきたのは、段ボール三箱だけだった | 自分が見たこと | 残す。本人にも確かめる |
| 元夫には、姉にも言っていない借金があったらしい | 人から聞いた話(第三者の私事) | 削る。確かめようがなく、元夫は相談できない |
| 健太は転校先の学校になじめなかった | 自分の推測(又聞きを含む) | 削る |
| 姉は一度も泣かなかった | 自分が見たこと(見ていない時間は知らない) | 「私の前では」と範囲を限定する |
| 強がっていたのだと思う | 自分の解釈 | 解釈であることが分かる形にし、本人の受け止めを確かめる |
ここで大事なのは、事実を書いたからといって、公開して相手が困らないとは限らないことです。段ボール三箱は事実でも、それが姉にとって人に知られたくない場面かもしれません。反対に、解釈は書き手のものなので書いてかまいませんが、事実のように書くと、読者はそれを本人の姿として受け取ります。「強がっていた」と書かれた側が、そうは思っていないこともあります。
人から聞いた話は、とくに注意が要ります。書き手が確かめていないうえに、話してくれた人が「人に話したこと」を公開されるとは考えていない場合があるからです。
本人に相談する範囲を決める
確認するのは「書いてもいい?」の一言ではなく、相手が判断できるだけの具体的な中身です。相談する前に、次のことを決めておきます。
手順相談の前に決めておくこと
- 誰に相談するか。作例なら、中心の姉、短く出てくる母。姉の息子は子どもなので、本人に加えて保護者である姉の考えを聞く。相談できない元夫については、書く量を最小限にする(作例では削る)。
- どの部分を見せるか。登場する段落を抜き出す。全文を読んでもらえるなら全文を渡す。
- 何を書いていないか。名前、職場、地域、時期など、すでに削ったものを伝える。相手が気にしている点かもしれないので、先に示しておくと判断しやすくなる。
- どこに公開するか。誰が読めるか、作者名は本名か筆名か、紙の本になる予定はあるか。
- あとで嫌になったらどうするか。ネットなら非公開にできるが、紙の本や公募の掲載誌は取り消せない、と正直に伝える。
口頭で「いいよ」と言われても、何を了解したのかは人によって受け取り方が違います。書いた部分そのものを文面で見せ、返事をもらっておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
ひな形本人に相談するときの文面の例(架空・内容に合わせて書き換える)
〇〇さん(姉さん)へ 前に少し話した、エッセイのことで相談させてください。 いま、何年か前の冬に、姉さんと〇〇が実家にいたころのことを書いています。毎朝、姉さんがクリームパンを買ってきていた話が中心です。 公開する前に、次のことを確かめたいです。 ・姉さんが出てくるこの話を、公開してもいいか ・下に抜き出した文章のうち、外してほしいところ、事実と違うところはないか ・呼び方は「姉」「姉の息子」とだけ書くつもりです ・名前、職場、住んでいた町、離婚の事情、〇〇の学校のことは書いていません ・公開先は、本名を出していない私のブログで、誰でも読める状態になります ・本にしたり、どこかに応募したりするときは、あらためて相談します ・公開したあとで消してほしくなったら、言ってください。すぐに非公開にします 返事は急ぎません。断ってもらっても大丈夫です。全文を読んでもらえるなら送ります。 【姉さんが出てくる部分】 (ここに該当する段落を貼る)
相手から外してほしいと言われたら、そのまま従うのが基本です。そのうえで、一篇をどうするかは、次の中から選べます。
| 選択 | 向いているとき |
|---|---|
| 指摘された部分だけ削る | 削っても一篇の焦点が残る |
| 相手のことではなく、自分の見たこと・感じたことを中心に書き直す | 相手の事情を書かなくても、自分の体験として成り立つ |
| 公開範囲を狭める(家族だけに渡す、限定公開にする) | 相手が「身内ならよい」と考えている |
| 時間を置く | 出来事がまだ生々しく、相手も自分も判断しにくい |
| 公開しない | 相手の生活に影響が出るおそれがある、相手が強く望まない |
亡くなった人や、連絡がとれない人、関係が途絶えた人のように、相談できない相手もいます。その場合は相談できないぶん、その人について書く量を一篇に必要な範囲にとどめ、その人の家族や知人が読むことも考えて書きます。
公開範囲ごとに、読む人と取り消せるかを確かめる
同じ文章でも、どこに出すかで、読む人の数と、あとから取り消せるかどうかが変わります。本人に相談するときも、公開先をはっきり伝えます。
| 公開先 | 読む人 | 後から取り消せるか | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 自分のノート・非公開の保存 | 自分だけ | できる | 端末の共有設定、家族と共用のパソコンでないか |
| 家族や友人に手渡し・送信 | 渡した相手と、その先 | 渡したものは戻らない | 転送や回し読みされてよいか |
| 限定公開(パスワード付き、友人だけのSNS) | 許可した人。ただし画面の撮影や転送で外に出ることがある | 公開は止められるが、写しは残る | 限定公開でも外に広がり得ることを本人に伝えたか |
| 誰でも読めるブログ・投稿サイト | 不特定の人。検索から来る人も | 非公開にはできるが、保存や引用は残ることがある | 作者名・プロフィールから書き手がたどれないか |
| 公募・文芸誌・同人誌・本 | 選考する人、掲載誌や本の読者 | 紙の本や掲載誌は回収できない | 公開範囲が広がることについて、もう一度相談したか |
| 講評・添削への提出 | 依頼先の講評者など | 渡した原稿の扱いは依頼先の規定による | 原稿の保管と削除、第三者が読むかどうか |
ブログで公開したエッセイを、あとで公募に出したくなることもあります。公募の要項によっては、ネットでの公開や限定公開も「発表済み」に当たる場合があるので、公開の前に予定を考えておくと迷いません。確認のしかたは小説公募の「未発表」とは?で扱っています。講評や添削を頼むときの原稿の扱いは、未公開原稿の守秘・著作権・取扱条件を確認するで確認項目をまとめています。
確認を反映して書き直す
作例の書き手が姉と母に相談し、次の返事をもらったという設定で、初稿を書き直します。
- 姉:冬の話とクリームパンの場面は書いてよい。職場、元夫のこと、息子の学校のことは書かないでほしい。「強がっていた」は、自分ではそう思っていない。ブログはよいが、本にするときはまた聞いてほしい
- 母:膝の手術のことは書かないでほしい。味噌汁の話はよい
作例作例:確認後の書き直し(約200字)
数年前の冬、姉が息子を連れて実家に帰ってきた。持ってきたのは、段ボール三箱だけだった。
その冬、母は毎朝、四人分の味噌汁を作った。姉は母の後ろで黙って椀を並べ、私はそれを、ちゃぶ台の向こうから見ていた。
私の前で、姉は一度も泣かなかった。泣かなかった理由を、私は今も知らない。毎朝、駅前のパン屋でクリームパンを一つだけ買ってきて、息子の皿に置く。それがその冬の、姉のいちばん決まった仕事だった。
| 初稿 | 書き直し | 理由 |
|---|---|---|
| 二〇二四年の一月、由美、健太、小学五年 | 数年前の冬、姉、息子 | 時期と名前、学年の組み合わせを外した |
| 市立図書館の司書、[路線名]の終点の駅 | 削除 | 本人の希望。一篇の焦点にも関わらない |
| 元夫の借金 | 削除 | 確かめていない第三者の私事。本人の希望 |
| 母の膝の手術 | 削除 | 母の希望 |
| 健太は学校になじめなかった | 削除 | 子どもの事情。本人と保護者の希望 |
| 姉は一度も泣かなかった。強がっていたのだと思う | 私の前では泣かなかった。理由を今も知らない | 見た範囲を限定し、本人が違うと言った解釈を、知らないことの正直な記述に変えた |
| 駅前のパン屋[店名] | 駅前のパン屋 | 店名から町が分かるため |
削った情報は多いものの、書き手が残したかったクリームパンの場面は残っています。削ったことで、姉の事情を説明する文章ではなく、その冬の朝の様子を書いた文章になりました。家族の事情を削ると一篇が成り立たなくなる場合は、事情そのものではなく、自分がその冬に何を見ていたかへ焦点を移すと書き直せることがあります。一篇全体の焦点や段落の役割から見直す手順は、エッセイの推敲のやり方で扱っています。
相手が書いた文章を載せるとき
家族の手紙や日記、メッセージの文面をそのまま作品に入れたいこともあります。その場合は、プライバシーとは別に、相手が書いた文章の扱いも関わることがあります。他人の文章を自分の作品に取り込む「引用」について、文化庁は一般的な注意事項として、引用する必然性があること、かぎ括弧などで自分の文章と区別すること、自分の文章が主で引用が従であること、出所を示すことを挙げています(文化庁「著作物が自由に使える場合」)。家族の手紙を載せる場面にこれがどう当てはまるかは個別の判断になるため、まず本人に、その文面を載せてよいかを相談しておきます。
公開前に、もう一度確かめる
書き直したら、公開する直前にもう一度点検します。書き直しの途中で、削った情報が別の形で戻っていることがあるからです。
確認表公開前の確認表
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名前・あだ名のほか、職業・職場、地域・店名、時期、学年、家庭の事情を一覧にし、組み合わせで誰か分からないか確かめた
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本文の外(作者名、プロフィール、あとがき、添えた写真)から、書き手と家族がたどれないか確かめた
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自分が見たこと、人から聞いた話、自分の解釈を分けた。解釈を事実のように書いていない
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確かめていない第三者の私事(借金、病気、離婚の理由など)を書いていない
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子どもや、相談できない人について、一篇に必要な範囲を超えて書いていない
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登場する人に、該当する部分を文面で見せて相談した。外してほしいと言われた部分を外した
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公開先と、後から取り消せるかどうかを本人に伝えた
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相手の文章(手紙、日記、メッセージ)を載せる場合、載せてよいかを相談した
公開したあとも、確認が要らなくなるわけではありません。次のようなときは、もう一度本人に相談します。
- ブログで公開した作品を、公募に出す、本や同人誌に収録する、朗読するなど、読む人の範囲が広がるとき
- 本人の生活が変わったとき(転職、再婚、子どもの進学など)
- 本人から、消してほしい、直してほしいと言われたとき
判断に迷うときの確認先
ここまでの確認は、書き手が自分でできる編集上の点検です。それでも、書いた内容が法律上問題にならないか判断がつかない場合や、相手から抗議を受けた場合は、書き手だけで結論を出さず、専門家に相談します。
- 法テラス(日本司法支援センター):「法律の総合案内所」として、相談窓口や法制度の情報を案内しています。一定の条件のもとで、弁護士・司法書士による無料の法律相談も案内しています(法テラス)。
- 弁護士への相談:公開前の原稿について、具体的な判断がほしい場合。出版を予定している場合は、出版社の担当者に相談できることもあります。
- 法務省の人権相談:法務省は、インターネット上の名誉やプライバシーの侵害を人権問題として扱い、相談窓口を案内しています(法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」)。書かれた側が相談する窓口でもあることを知っておくと、書かれる人の立場を考える手がかりになります。
どの確認先も、記事の作例のような一般的な点検の代わりに、個別の事情に即した判断をするところです。迷ったまま公開するより、公開を遅らせるほうを選んでかまいません。